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2009年04月30日

【オカリナ】オカリナの思い出 第5部~最終章、番外編まで

オカリナの思い出と題する昔書いたエッセイを連載していたことをすっかり忘れており、友人から

「あれどうなったの?楽しみにしてるんだけど。」

などという、予想外の嬉しい言葉を頂いたもので、急遽原稿を探して、最終章、そして番外編までを掲載させて頂きます。
一応、今回が最終回となります。

【目次】
第5章 ダブレットとの出会い
第6章 ダブレットくん大活躍
(1)ウィーン・ザルツブルグにて
(2)司法修習生時代
第7章 今後
番外編

それでは、お楽しみください。

5 ダブレットとの出会い

  オカリナの難点は、何と言っても音域の狭さ。普通のオカリナでは、1オクターブ半ほどしか出ない。その音域で演奏できる曲というのは、やはり必然的に限られてくる。もっと音域の広いオカリナはないものかなぁ・・・ とオカリナを制作している会社のパンフレットを漁り始めた。そうすると、同じくアケタというお店が「ダブレット」と言って2オクターブ半もでるオカリナを作っているではないか・・・
  一体どんな仕掛けなんだ?と思って調べると、通常10穴しかないオカリナに16穴も開け、おまけに吹き口も2つあるという。要は、普通のオカリナに小さなオカリナを合体させて1つのオカリナのような体裁を保ち、実際演奏するときには 高い音を吹くときは吹き口を替えながら演奏するというものである。型名は「Tー4F」。値段は何と2万円。普通の楽器の4倍近くもする。でも欲しい。嫌、絶対に手に入れないと気が済まない(笑)。でもこんなの、本当に売っているんだろうか・・・と思い、銀座のヤマハへ足を向けた。
  店員さんに話をしたら、実物があるというので見せてもらうことにした。在庫は2つしかありませんので、どちらかを試奏して気に入った方を持っていってください、 とのことだった。早速2台のダブレットを持って試奏室へ。吹いてみるんだけど、なかなか思うように操れない。音もそう簡単にでない。これは練習のし甲斐があるぞ。と思い、大枚をはたいて音程の良い方を購入。その日からはただひたすらダブレットの練習に向かう。 といっても、本業の司法試験の勉強の合間を縫ってということであるが・・・
  吹き口が2つあり、これを自由自在に口を滑らして吹き分けなければならない。しかし、なかなかスムーズに口が滑らない。そうです、すぐに乾燥してしまうのです。吹き口の周りを一生懸命なめて乾燥しないようにしたりしても、所詮つばきではすぐに乾燥してしまう。 どうすりゃいいんだ???
  紆余曲折の上、いずれの吹き口も口の中に含むような形にして常時吹き口を湿らすようにし、息の出し方を工夫して使わない穴の方へ息が行かないように演奏方法を改良し、口の滑らしも少ない距離で間に合うようにした。すると、この点は改善でした。
  次に起きた問題は、低い音の管と高い音の管は、吹き口を替えなければいけないというところからみても、別の管になっている。ということは、音色が全く一緒だというわけではない。低い音から高い音へ行くとき、またその反対のときに、音同志の間で違和感が出てしまう。 これをなくさなければならない。低い音の方は、管が大きいので必然的に柔らかい音が出るし、高い音の方は、管が細くて小さいので硬めの音が出てしまうのである。この問題は、何度も音を出し、違和感が出ないように吹き方を調整して音ので具合を研究してようやく解消した。
  これで、音域の問題と演奏上の問題は解消。2オクターブ半を自由に操れるようになった。そうすると、持ち替えで演奏するという面倒くさいことはやってられなくなってくる。その後、オカリナを吹くと言えば、このダブレット以外には殆ど手にしなくなってしまった。

6 ダブレットくん大活躍

(1)ウィーン・ザルツブルグにて
   このダブレットを購入した年の11月に、何とか司法試験に合格。人生の内に一度はウィーンとザルツブルグへ行きたいと思っていたところ、両親が記念に行ってらっしゃいと旅行代金を出してくれた。実に良い親である(笑)。明けて平成9年3月、僕はウィーンとザルツブルグへ旅立った。
   もちろん、コートのポケットにはダブレットがいつも一緒。僕の目論見は、ウィーンのケルントナー通りでオカリナを演奏することだった。ケルントナー通りをブラブラし、CD屋さんに入ると店の外から笛の音がきこえた。「あっ、リコーダーだ。」と思い、一目散に外に出てその演奏に聴き入る。
   何とまぁ、レベルの高い演奏。僕も昔アメリカでリコーダー2本を口にくわえ、アルルの女より「ファランドール」を演奏し、拍手喝采を頂いたことがあったが、そんなのは愛嬌であって、そこで演奏していた彼の演奏は実に上手いし、聴衆の心をつかんでいる。さすがはウィーン。僕は一気にここで 演奏をしようと思っていた自分が恥ずかしくなり、あえなく退散。もし機会があればザルツブルグで演奏をしようと思い、一路ザルツブルグへ向かった。
   ザルツブルグはウィーンほど音楽が盛んではなかった。街頭で演奏する人は一人として見かけなかった。僕も街頭で演奏するのは諦め、市内にある小高い丘に登って、そこで一人演奏でもするかと演奏を始めた。せっかくザルツブルグに来ているのだからと、この地を舞台にした映画「サウンド・オブ・ミュージック」 から、エーデルワイスなどを演奏し、また、遠く祖国を思いながら日本の唱歌などを演奏していた。一人で気持ちよく吹いていると、知らない間に犬の散歩やジョギングに来ていたオーストリア人が何人か足を止め、僕のオカリナを聴いていたようだった。皆一様にニコニコしながら色々と話しかけてくれたが 不幸にもドイツ語がわからず、「ダンケ・シェーン」というのが精一杯(笑)。でも、僕のオカリナを気に入ってくれたようだったことは雰囲気でわかった(思いこみかな?)。音楽が国境を越えた瞬間。この瞬間は凄く感動する。昔アメリカでリコーダーを演奏したときも同じ感動をしたが、実に気持ちの 良いものだった。
(2)司法修習生時代
   この夢のような旅行から戻ると、僕は晴れて司法修習生となった。僕の場合は3ヶ月の合同修習の後、静岡地方裁判所へ1年半実務修習に行くことになった。
   実務修習というのは、どこへいってもまず自己紹介から始まる。最初は気の利いたセリフを考え、周りの笑いを誘うことに専念していたが、そのうちもっと強烈にアピールできるものはないかと考え、自己紹介の機会があるごとにスーツのポケットにオカリナを忍ばせていくことにした。
   民事裁判の修習で配属先になった裁判官室の部長判事(女性)がクラシックが大好きで妙に気があった。今度歓迎会をしてくれる・・・というので、「これ幸い」と思い、オカリナをスーツのポケットに忍ばせて会場へ向かった。
   やはり、自己紹介の場があり、僕の番が回ってくる。笑いを誘うトークを若干した後、おもむろにポケットからオカリナを取り出し演奏を始めた。このことは誰にも言ってなかったので、同僚の修習生をはじめ、そこにいた裁判官も皆びっくりしていたが、ディズニーメドレーを楽しそうに吹き始めた僕につられてか、50人近くいたそこの会場の方々の手拍子が始まった。「お~、成功したぞ。うっしっしっし。」目論見は成功だった。演奏後皆さんから拍手を頂き、その後そこでの修習が実に楽しく終えられたのは、まさにオカリナさまさまであった。
   同期の修習生たちは、そのころ結婚ラッシュが始まった。僕の演奏を聴いてくれた同期の連中が、結婚式の披露宴で是非演奏してくれと言い始めた。結局修習生の間に4回ほど披露宴で演奏した。オカリナの音というのは、優しくて穏やかになれるのか、会場に来ていたお年寄りから若い人たち、また子供さんまで みんながオカリナの演奏に喜んでくれた。
   実は、子供時代に僕がなりたかった夢の一つに、エンターテイナーというのがあった。ジャンルは具体的には決めていなかったが、僕一人の言動一つで大勢の人を喜ばせる、そんな仕事に就きたいと思っていた時期があった。でも、自分には何が出来るだろうと思った瞬間、このことは夢と消えたが、 こういうオカリナ演奏の体験を通して、その夢を実現しているかのような錯覚を覚えることがある。実に幸せな瞬間だ。

7 今後

  最近は、仕事の方が忙しく、なかなかオカリナに触ることもなかったが、結婚を境に妻がピアノを弾けることもあって、時々ピアノとオカリナの合奏をしたりしている。実は、こういう生活に密かに憧れていた。又一つ夢が実現したようだ(笑)。
  また、最近HPを通してオカリナ仲間の輪が急に広がったこともあり、再びマイオカリナブームが到来している。オカリナのオフ会があれば是非出席したいと思っているし、みんなと合わせられる機会があれば是非合奏したいという気持ちが沸々と湧いてきている。自分のHPにも自分の演奏を録音してアップしていこう とも思っている。オカリナとつきあい始めて早8年になるが、オカリナ熱はまだまだ当分冷めそうにない。一生の友として、オカリナ的生活を楽しんでいきたい。

H13.9.1

<番外編>
 もともと、小学校時代から、リコーダーが好きでよく吹いていました。ずっと音楽をしていた関係で、曲を聴いたそばから再現することが出来ました。そのうち、1本で吹くことに飽き足らなくなりました(笑)。
 中学に入ると、ソプラノリコーダーとソプラニーノリコーダーを一緒に2本口にくわえて演奏する奏法を編み出しました。ソプラノリコーダーはC管、ソプラニーノリコーダーはF管で、一人でハモらすことができるようになりました。ビゼーの「アルルの女」より、ファランドールをよく演奏しました。
 中学2年の夏休みに、アメリカ西海岸へ、全国の中高生が20人くらい集まって、現地の中学生達と共同生活をするツアーに参加しました。3週間ばかり居ましたが、最後にフェアウェルパーティがありましたので、リコーダーを2本くわえて、アルルの女を演奏しました。大受けでした(笑)。拍手喝采、アメリカ人はこういうのが大好きなんですね。私のエンターテイナー志向は、この時に定まったものと思います(笑)。
 さすがに、オカリナを2本いっしょにくわえて演奏することはできませんが、ダブレットという吹き口が2つある奏法が難しいといわれる楽器にあえて挑戦しているのは、きっとこんなことがきっかけになっているのかも知れません。

H20.9.8

投稿者 ono : 2009年04月30日 13:54

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