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2008年09月30日
【オカリナ】オカリナの思いで 第2部~第4部まで
前回の第1部から少し時間が空いてしまいましたが、思いの外好評でした。
今日は、
第2部 宗次郎さんのCDを購入
第3部 アルトのC管
第4部 ある庭園で
をお届けします。
楽しんでお読み下さい。
2 宗次郎さんのCDを購入
購入して1週間程経ち、ある程度吹けるようになると、「プロの演奏家っているんだろうか?」と気になり、また病院帰りにヤマハへ寄り、CDを探した。「いたいた。宗次郎っていう人がいるんだぁ。これは買って聴いてみないと・・・」
自宅に戻り、早速聴いてみる。実に鮮やかな演奏。買ったのは「アーリー・タイムス」という彼のベストセレクション。1曲目の「道」という曲から頭をガツーンと張られたような衝撃。何と美しいのか・・・。オカリナはこんなに奥深い演奏もできるんだぁ。」 というのが、偽らざる感想。「四季」「心」と僕好みの曲が続く。「思い出の小箱」は実に心にしみ入る感動的な曲だった。早速CDを聴きながら音をとって演奏してみる。我ながら自分の演奏に酔ってしまう・・・(笑)。 何かソロの曲はないかと思い、CDを聴き進めると「小鳥の歌」という曲があった。4曲の無伴奏ソロの組曲であり、まるで小鳥がさえずっているかのような見事な演奏である。 「よし、当面の目標をこの曲にしよう。でも、今持っているF管ではこの音はでないなぁ。ピッコロのC管だったら音が出そうだ。これを手に入れよう。」
結局、実家にいる間はこれを手に入れる金銭的な余裕がなく、東京に戻ってから手に入れることになる。白色のアケタのピッコロオカリナを手に入れた。
3 アルトのC管
クラシック好きな僕は、よく中古のCD屋さんへ行っては安くCDを買ってきていた。そのなかのお気に入りの曲でロストロポービッチが弾く、バッハの無伴奏チェロ組曲第3番という曲がある。 その組曲の中に「ブーレ」という曲があり、実に楽しくもあり、悲しくもあり、懐かしくもなるような曲がある。この組曲を18世紀オーケストラの指揮者として有名な、フランス・ブリュッヘンというリコーダー奏者がアルトリコーダーでレコーディングしているCDを ちょうど手に入れたこともあり、もしかしたらオカリナでも演奏できそうだなと思い、今度はアルトのC管のオカリナが欲しくなった。多少のアルバイト代が出たときに、本を一冊買うのを我慢して楽器を買ってしまった。紫色のアケタのアルトC管。 早速、ブーレを吹いてみる。
「お~、ブリュッヘンの演奏に近くなってきたぞぉ。」と、一人感動していたものである。
C管を2種類と、F管の計3本を手に入れ、これで音域的には持ち替えさえすれば何の曲でも吹ける環境が整った。当時の流行りの曲から、ディズニー音楽を自分で勝手にメドレーに編曲したもの、クラシックと、知っている曲を次から次へと毎日のように演奏したものだった。
4 ある庭園で
東京には、少し下町の方へ行けば、意外にも緑豊かな庭園があったりする。僕はそういう日本庭園が大好きで、暇を見つけては探索をしたりするのだが、この日は門前仲町にある「清澄庭園」という紀伊国屋文左衛門が所有していたという庭園へオカリナを持ってブラッと出かけた。 平成7年の12月ころのお話。そこで吹いたら気持ちいいだろうなぁと思いながら、恐る恐るオカリナを持ち出して吹いている内に、気持ちよくなって一心不乱に吹き始めてしまった。気が付くと背後に人影が・・・ 「やばい。注意されるかな?」と思いながら、振り返ると若い娘さんを連れ立ったお母さんが話しかけてくる。「今演奏していたディズニーの曲、もう一度吹いてもらえませんか?」知らない人に吹いて聴かせるのは初めてのこと。でも、そんなことを言われて嬉しくないはずがなく、 アンコールに応えることにした。彼女たちはいかにも楽しそうに僕の演奏に手拍子を添えてくれる。
彼女たちにお礼を言われ、その場を後にして庭園内をブラブラしていると、今度はおじいちゃんに声をかけられた。「今度こそ注意をされるのか?」と思いきや、「君がさっき笛を吹いていたのかな?実に良い音色だね。僕は詩を詠むんだが、君の音色を聴いて一句創ったところなんだ。」 と声を掛けてきた。ディズニーの曲を吹く前に、実は宗次郎さんの「思い出の小箱」と「小鳥の歌」を吹いており、その曲に感動したようだった。
「その歌、僕に聞かせてもらえませんか?」
と聞くと、一筆書いて僕にプレゼントしてくれた。
「清澄の 水面を渡る オカリナの 音色を耳に 何をか思わん」
確か、このような歌だった。感動的な瞬間だった。僕の演奏が人の心を揺さぶっただなんて。 そのおじいちゃんにお礼の気持ちを込めて、「思い出の小箱」を再び演奏した。
そのうち、その庭園に遊びに来ていたいろんな人が、「いいわねぇ。」「いい気持ちになったよ。」なんてことをわざわざ声を掛けに来てくれ、嬉しい一日だった。
2008年09月22日
【ガッシュ訴訟】9/22 第2回口頭弁論!
本日、午後1時30分より、ガッシュ裁判の第2回口頭弁論が行われました。
相変わらずのたくさんの傍聴者の方にご出席頂き、お礼を述べるとともに、関心の高さを感じました。
今日の内容は、手続的には、書証についての証拠調べ(原本のあるものについて、証拠となる書類を見分する手続です)、原告側が提出した「原告第1準備書面」の陳述の2点です。
準備書面には、大きく2つのことが書かれています。
一つは、既に7月30日に紛失原稿のポジフィルムを小学館から返して頂きましたので、これについての請求を取り下げる旨、もう一つは、原告からの和解条項についての提案です。
和解案については、まだ細かいことは書けませんが、概ね以下のような感じになります。
一つは、謝罪と解決金の支払い。
もう一つは、原告と被告とで共同の提言を行うという案を出しました。
内容的には、簡単に書きますと、
① 漫画について、関係者は、その原稿に美術的価値を見いだし、創作者の意向を十分に尊重する姿勢が必要であること。
② 漫画原稿について出版社の管理の仕方についてのルール
③ 原稿紛失時の損害賠償金ルールについての根本的な見直し
以上を3本柱にしました。具体的な内容については、こちら側の案は示しておりますが、今後小学館側との話し合いの中で固まっていくものと思います。
最終的に、和解が成立した暁には、皆様にも公表するともに、新聞等のメディアにも掲載して頂き、この和解が、道標になるようにしていきたいと考えています。
次回からは、和解手続となり、公開の法廷ではなく、密室にて裁判官主導で話し合いがなされることになります。従って、傍聴できません。
途中経過など、公表できる範囲でご報告はしていくつもりです。
次回期日は、10月21日午後1時30分からになります。
2008年09月17日
幼稚園最後の運動会
13日は、息子の幼稚園の運動会でした。年長さんですので、最後の運動会でした。
年長さんは、恒例の組体操、クラス別リレーが目玉で、明らかに年中さんまでの演目とは一線を画します。
はて、うちの息子はちゃんとやれるのだろうか・・・と期待半分、不安半分(笑)。
ここ1年、毎朝早起きをして、息子と一緒にマラソンをし、運動をし、幼稚園まで片道1.5キロを徒歩で送りと、2人で足腰を鍛えてきました。
半年ほど前に、マラソン大会があり、息子は900mを高順位で走りきり、親としてはとっても感動したことがありました。
さて、今回は・・・
組体操は、合計10種目の演技を行いました。波から始まり、二重橋、前転、倒立等と進んでいき、最後に、富士山、ピラミッドで締めました。
素晴らしい!!立派に体操をしていました。
体が大きいので、ピラミッドでは縁の下の力持ちでしたが、立派に土台になっていました!
クラス別リレーは、他に強いクラスがいるとのことで、前日にバトンを渡す練習などをしていたようでした。練習の時は、「○○組に抜かされちゃったよ。」なんて言っていましたが、「目指せ、優勝」で頑張っていました。
息子は、体が一番大きいという理由で、アンカーでした。責任重大です。
「一について、用意、ドン!」
第1走者が3位で入ってきました。第2走者が一人抜いて2位で入ってきました。第4走者の女の子が強く、一気に1位に躍り出ました。さらに、続く走者が、2位以下をぐんぐんと突き放します。
途中、追い上げられる場面もありましたが、アンカーの息子の番まで、1位を死守しています。
さて、息子にバトンが渡されました。
抜かされまいと懸命に走ります。かつて、こんなに気合いの入った息子の顔を見たことがあるでしょうか?
2位以下を大きく突き放したまま、ゴーーーーールっ!!
クラスの子達が集まっているところに息子が走って向かい、思わずガッツポーズをして飛び上がって喜んでいます。うーん、嬉しい。パパも嬉しい(涙)。
一部始終をビデオで撮りました。運動会が終わって家に帰ってきた後も、何十回このシーンを見たことでしょう(笑)。どんな名作の映画よりも感動しました。
さて、来年はもう小学生です。どんな運動会になるのか、今からとっても楽しみです。
2008年09月08日
司法研修所第51期10周年記念大会 in 熱海
9月6日から1泊で、熱海後楽園ホテルにて、タイトル通りのイベント(平たく言えば、同窓会ですね)がありました。
研修所(司法試験に合格した後に、実務を学ぶべく通う学校のようなもの)を卒業して以来、実に10年間全く会っていなかった方も多数おり、「名前はわからない、顔を見てもわからないだったら、どうしよう?」などと不安に思いながら、忙しさにかまけて予習もしないで行ったのですが、同じ釜の飯を食っただけのことはあり、顔を見るなり名前も思い出すといった感じで、10年前にタイムスリップしたようでした。
私もそうですが、やはり横に膨張した(笑)方が多かったように思いますが、原型まで失っている方はおらず、そのためか1日一緒にいただけで、現在の膨張された形で上書き保存されてしまい、原型を思い出すことが出来なくなりました(笑)。
女性陣も、10年前と殆ど変わらず、びっくりでした。やはり、一線に出て働くということは、若さを保つ秘訣なんでしょうね。
夕ご飯を含めた宴会のときに、一人ずつのスピーチがありましたが、40名近くのスピーチにもかかわらず、皆スピーチの内容が面白くて、楽しいひとときでした。
修習生の頃から、スピーチの機会は多く、必ず笑いをとらなければならないという、不文律のようなものがあり、当時から皆上手くこなしていましたが、実務に出て10年経ち、さらに磨きがかかっていたように思います。皆さんの頭の良さをヒシヒシと感じました。
次は、20周年時に記念大会が京都であるとのことです。今から、楽しみです。
【マジック裁判・民事】9月2日結審、10月30日いよいよ判決言渡し!!
9月2日、第10回目の口頭弁論が開かれ、原告ら側の最終準備書面が陳述され、結審にいたりました。
前代未聞の裁判でもあり、どのような判決が示されるのかが注目されるところです。
注目の判決は、10月30日午後1時15分より、東京地方裁判所708号法廷にて言い渡されます。
判決言渡し後に、記者会見を開く予定です。
なお、今回こちら側で出した最終準備書面を、長くなりますが貼り付けておきます。
前回の藤山さんの尋問内容を受けて、争点がさらに絞れましたので、まとめ直した形になります。
お時間のあるときにでも、ご一読ください。
平成19年(ワ)第10875号 損害賠償等請求事件
平成19年(ワ)第18783号 損害賠償等請求事件
原 告 ら 土 戸 直 哉 外104名
被 告 ら 日本テレビ放送網株式会社 外1名
原告最終準備書面
平成20年8月29日
東京地方裁判所民事第25部甲1A係御中
原告ら訴訟代理人弁護士 小 野 智 彦
「秘すれば花なり、秘せずば花なるべからずとなり。」
花伝書(風姿花伝)世阿弥編より
第1 本件の問題点
1 本件の被告らの報道は、ギミックコインの製造について、貨幣損傷取締法違反の容疑で製造者兼マジシャンが逮捕されたことを契機として、いわゆる犯罪報道の一環としてなされたものであり、その報道の必要性は、報道局の判断によるところが大きいし、珍しい容疑だということであれば、話題性もあることから、契機となった事件を報道すること自体に疑問を差し挟むものではない。
問題は、犯罪報道としての相当性を超えているのではないか、という点であることは繰り返し述べているところである。
2 相当性を超えるのではないか、ということで原告らが問題としているのは、いわゆる「種明かし」の部分である。
(1)まずは、「種」の種類についてである。
土戸証言からも明らかなように、「種」という言葉には2種類の使われ方がある。一つは「ハード面についての種」であり、もう一つは「ソフト面についての種」である。
つまり、前者(ハード面)については、ギミックコインで言えば、どういう構造になっているのかということであり、例えばシガースルーコインであれば、コインの真ん中に開閉式の穴が開いている、ということであるとか、フォールディングコインであれば、2つ折り、3つ折りに折れ曲がる構造になっており、折曲がった状態から手を放すと元のコインの状態に戻るとか、そういう客観的なギミックの構造のことである。
被告テレビ朝日の準備書面(4)によれば、警視庁も(捜査官)が報道陣に対し、「本件コインの損傷状況及びそれと手品との関係を説明したことについて、種明かしになるがやむを得ないことであると認めている」として、土戸本人調書16頁を引用するが、全くの的はずれである。警察が報道陣に説明をしたのは、例えば甲2の4の3,6頁、一番上の2枚の写真については、左側(フォールディングコイン)は、500円玉が3つ折りになる客観的な構造を示しているだけであるし、右側(パンクチャーギミック)は、100円玉に穴があり、そこにボールペンが突っ込まれている客観的な状況を説明しただけである。確かに、マジックに使われるコインという説明をしているのであろうが、これらのコインをどのようにマジックに使うのか、についてまでは説明がなされていない。
マジックの道具は、往々にしてそうであるが、説明書がなければどのように使ったらよいのかすらわからないものであり、ただ折れ曲がるコインをみせられても、どう使うのかまでは分からないため、マジシャン側(ギミックコイン所有者)も、そこまでの説明であれば、客観的な構造の説明のみで現象と結びついていないために、実害もそれほど大きくなく、公共の福祉のために甘受せざるを得ないと考えられる。
しかしながら、これらのギミックをどのようにマジックに使うのか、という現象を起こすためのやり方(ソフト面についての種)についてまで説明するのは、マジックそのものを崩壊させるもの以外の何ものでもない。
つまり、同じ種であっても、原告らが最も問題としているのは、「ソフト面についての種」であって、これは「ハード面についての種」と厳格に区別されなければならない。
これまで述べてきた「種暴露」の問題における「種」については、いずれも「ソフト面についての種」を前提に主張してきたものである。マジックの現象が「花」たるや、「ソフト面についての種」が秘すればこそなのである。
(2)次に、テレビ局は、マジックの種(ソフト面についての種)の重要性をしっかりと認識していながら、本件のような「種暴露」を行ったことに悪質性がある。
20年ほど前、Mr.マリックが日本テレビの番組で、100円玉にタバコを通したマジックを披露したことで、一大センセーショナルが起き、今日に続く超魔術ブーム、クロースアップマジックブームに引き継がれ、これまで何度となく、テレビ局によりマジックの特番が制作されてきた。
その中には、毎回のようにギミックコインによるトリックがあった。もちろん、その時々の「テレビ局のプロデューサーは、当然それがどういうコインを使っているものであるかは知っていたはずです。知らなければ、カメラ位置も決まらないし、ショートしての構成も作れないわけですから。その番組に関わった何人かの人たちは、それがトリックコインであることはもちろん承知で番組を作っています。ですが、彼らは視聴率を取るためにそのことは言わなかったわけ」なのである(土戸本人調書6頁)。
ところが、本件では、「本来なら種さえ分からなければ、同じ番組を幾つでも作れるものを、とにかく1回の視聴率を取りたいがために暴露した結果が今回のことだろうと思」われる、とする土戸本人の供述は、合理的である。
つまりは、確信犯だったわけである。
さらには、本件報道の取材の一環として、被告らはギミックコインを高い金額を出して購入している。被告らは、視聴率を取るための必要経費と考えれば、ギミックコインにかかる費用など安いものであろうが、マジック愛好家にとっては、ギミックコイン1枚の値段は、相当に高価である。本件のような報道がなされれば、少なくとも今後ギミックコインでは視聴率がとれないと認識していたと合理的に推測され(事実、本件以降、日本円のギミックコインを用いたマジックの番組が制作されていない)、ギミックコインを持っていることの価値、即ち、ギミックコインそのものの財産的価値が著しく減損されることを十分に認識していたはずなのである。つまり、この意味においても確信犯だったのである。
この点、土戸供述は、非常にわかりやすく解説している(土戸本人調書11頁)。
「3つめの問題が単なる暴露です。何の理由もなく、マジックの種明かし、あるいはマジックの教室の番組でもないのに、テレビのニュースをつけたら種明かしをやっていた、これが問題です。それを見てるお客さんがその種を知りたいかどうか、実際ほとんどの人は知りたくも何ともないんです。じゃ仮にコインのマジックを、そこで種明かししたからと言って、だれがそれできるんですか。そのコイン、あああれは面白い、じゃ作ってみようって作りますか、作れば犯罪になるんでしょう。じゃ種明かしする理由どこにありますか。じゃインターネットで買えばいい、だけどタバコを通す100円玉が1万円からするんですよ。普通に生活をしてる人がそんなものを買いますか、あり得ないですよね。そんだけの金払ってでもたばこを通したいと思う人のほうが、これはむしろ奇特な人たちです。で、それをなんで報道番組で種明かししますか。全く理解に苦しみます。みんな迷惑をしてます。覚えた視聴者は全然出来ません。種明かし知っただけに終わってしまいます。誰の得になるんですか。だから私はそのことに対しては反対しているんです。3つの種の公開のうち、暴露は一番だれのためにもならないから反対しているんです。」
第2 マジシャン(手品師)に恰も罪があるかのような番組を制作したことについて
1 甲2の4の3、3頁以下で、隠しカメラにより、庄野氏のお店(フレンチ・ドロップ)に潜入し、庄野氏のシガースルーコインを演じる様を撮影したものを報道した記録がある。
隠しカメラで潜入しなければならない理由などない。シガースルーコインを製造する場面であれば、まさに犯罪実現行為であるから、これを断って撮影することは不可能であろう。
しかしながら、シガースルーコインを用いてマジックを演じることは何ら違法でも何でもない。これを隠しカメラで、潜入レポをする必要は全くないのである。
このような手法は、ギミックコインを用いてマジックを演じるマジシャンが、恰も犯罪実現行為を行っているかのような錯覚を起こさせるような報道の仕方であり、それ故にこの報道番組以後、ギミックコインを用いてマジックをすると、「それって犯罪でしょ。」と白い目で見られ、マジシャンたちは、多大なる精神的苦痛を負ったのであった。
2 土戸供述の該当箇所を引用する(土戸本人調書19頁)。
「それはハードの部分の法律違反じゃないですか。ソフトの部分の解説をなぜくどくどなさるんですか。なぜそれをビデオカメラで潜入して撮らなきゃいけないんですか。ビデオカメラで潜入しなくても、お金さえ払えば見られるし、手品見せてくれって言えばいくらでも見られるものを。」
「(潜入したその映像で、何かからくりが明らかになっていますか。)明らかになっております。だって演出をそこで伝えるんですから。」
「だからそれをなぜ秘密カメラで撮らなきゃいけないんですか。撮らしてくださいと言って撮れば幾らでも撮れるものじゃないですか。」
「あたかも手品をすることそのものが間違いのように放送してるではありませんか。」
第3 不法行為の特定について
原告第3準備書面において、放送における不法行為部分の特定をしたが、今回改めて争点が絞れたことから、若干の修正を行う。
【被告日本テレビについて】
1 甲2の4の2について(ザ・ワイド(2006年11月15日放送)3頁より)
(1)3頁目3行目から5行目まで
金子氏による、シガースルーコインの種暴露の状況。
「まずこちらの、百円玉と、たばこにご注目ください。この百円玉にたばこを乗せて、おまじないをしますとごらんのように、たばこが百円玉を貫通しました。おなじみのマジックなんですけれども、実は、裏返しますと、本物の百円玉に真ん中に穴をあけてあるんですね。」(3頁目写真2枚がこれに対応)。
(2)3頁下から2行目以降4頁下から4行目まで
隠しカメラで、潜入レポを行い、庄野氏の行うシガースルーコインの演技を撮影、放送していること。
2 甲2の4の4(NNN NEWSリアルタイム(2006年11月15日放送)12頁より)
(1)14頁目(2:15)~15頁目(2:32)までの8枚の写真に対応する映像を放映したこと。
写真は、いずれも100円玉のシガースルーコインの種が暴露されている状況である。レポーターにより、一見本物にみえる100円玉の中央部分を指で押し凹む様を撮すと共に、コインの裏側(仕掛け側)をも撮影し、凹んだ穴の部分がコイン本体を離れ、ヒンジでつながれている状態まで撮影・放映されている。
(2)15頁目(2:46)~16頁目(2:50)までの4枚、及び17頁目4枚の写真に対応する映像を放映するとともに、以下のナレーションを行ったこと。
写真は、いずれも500円玉のフォールディングコイン(バターコインをフォールディングコインとして使用している。)についての種が暴露されている状況である。2つに折りたたまれる500円玉の様子及び、これがペットボトルの口の部分を通過し、中に入る様が撮影・放映されている。
ナレーターにより「通るはずのない口をコインが通ってしまうおなじみのマジック。しかし、このコインにもトリックがあった。真ん中に割れ目があるが、ゴムの力でもとに戻る。こうすれば簡単に狭い口も通すことができる。」(16頁最終行から17頁3行目にかけて)とのナレーションが行われた。
(3)20頁目4枚の写真に対応する映像を放映すると共に、以下のナレーションを行ったこと。
写真は、いずれも近藤氏による100円玉シガースルーコインの種が暴露されている状況を撮影・放映したものである。
「このように、たばこがあっさり通ってしまうんですが、これをもっていたり販売をしても、罪には問われません。この仕掛けは、このようにたばこを差し込みますと、ふたがばねでとめてあって、それがこのように開くんですね。簡単な仕組みです。」(20頁1行目~4行目)。
3 甲2の4の5(NEWS ZERO(2006年11月15日放送)21頁より)
以下のナレーションと共に、23頁から25頁(3:20 その2)にいたるまでの写真に対応する映像が放映されたこと。
「インターネットで高額な値段で売買されているマジック用の硬貨。私たちはその幾つかを入手した。百円硬貨にたばこを通すマジック。この場合、硬貨の真ん中に丸い穴があり、ワイヤーで動く仕掛けになっている。こちらは五百円硬貨が、ペットボトルの小さな飲み口から入ってしまうマジック。折れ曲がるように細工され、ゴムでもとに戻るようになっていた。そして、十円硬貨が消えてしまうマジックでは・・・。十円と五百円が表裏になっていて、もう一方の硬貨と合わさると、五百円硬貨ができあがる。通常のものとマジック用のものを比べてみても、全く見分けがつかないほど精巧につくられている。」(23頁1行目~25頁2行目まで)とのナレーション部分。
① 23頁(2:29)(2:35)の写真
100円玉シガースルーコインの種が暴露されている状況。丁寧にも「丸い穴がワイヤーで動く」とのテロップまでもが流された。
② 23頁(2:49)~24頁(3:01)までの3枚の写真について
いわゆる500円玉のバターコインをフォールディングコインと同じ使い方によって、ペットボトルの口から折り曲げて中へ入れる様子を撮影したもの。丁寧にも「500円硬貨が折れ曲がる」とのテロップまでもが流された。
③ 24頁(3:04)~25頁(3:20)までの8枚の写真
500円玉と10円玉によるスコッチ&ソーダの種が暴露されている様(3:04)では、500円玉と10円玉が示されており、これをかぶせると10円玉が500円玉の中に組み込まれる様が、(3:11)~(3:14)までの3枚の写真によって示されている。なお、10円玉の裏側には500円玉の表(桐側)が張り合わされており、500円玉の中に組み込まれたときには、裏を見せても普通の500円玉にしかみえないような仕掛けになっている。その部分の暴露されている様が、(3:15)~(3:20)の4枚の写真によって示される。なお、マジシャンの間では、特にシークレット度の高いギミックである。
4 甲2の4の7(スッキリ!!(2006年11月16日放送)36頁より)
(1)以下のナレーションと共に、36頁目(0:25)(0:30)の写真に対応する映像を放映したこと。
「百円硬貨にたばこを通すマジック。この場合、硬貨の真ん中に丸い穴があり、ワイヤーで動く仕掛けになっています。」(36頁7行目~8行目)
写真は、100円玉シガースルーコインの種が暴露されている状況である。丁寧にも「100円硬貨にタバコを通すマジック 硬貨の真ん中に丸い穴を作りワイヤで動く仕掛けに」とのテロップまで入れる過剰な報道である。
(2)以下のナレーションとともに、37頁目(0:38)(0:39)の写真に対応する映像を放映したこと。
「こちらは、五百円硬貨がペットボトルの小さな飲み口から入ってしまうマジック。硬貨が折れ曲がるように細工され、ゴムの仕掛けでもとに戻るようになっています。」(36頁最終行~37頁2行目)
写真は、いわゆる500円玉のバターコインをフォールディングコインと同じ使い方によって、ペットボトルの口から折り曲げて中へ入れる様子を撮影したものである。丁寧にも「500円硬貨がペットボトルに入るマジック 硬貨が折れるように細工されゴムの仕掛けで元に戻る」とのテロップまでもが流された。
(3)以下のナレーションとともに、37頁目(0:45)~38頁(0:58)までの8枚の写真に対応する映像を放映したこと。
「そして、十円硬貨が消えてしまうマジックでは、十円と五百円が裏表になっていて、それぞれを合わせると五百円硬貨ができ上がる、という仕組み。」(37頁3行目~最終行)。
写真は、500円玉と10円玉によるスコッチ&ソーダの種が暴露されている様子である。(0:45)では、500円玉と10円玉が示されており、これをかぶせると10円玉が500円玉の中に組み込まれる様が、(0:48)~(0:54)までの3枚の写真によって示されている。なお、10円玉の裏側には500円玉の表(桐側)が張り合わされており、500円玉の中に組み込まれたときには、裏を見せても普通の500円玉にしかみえないような仕掛けになっている。その部分の暴露されている様が、(0:54)~(0:58)の4枚の写真によって示される。「10円硬貨が消えるマジック 10円と500円が裏表になっていてそれぞれあわせると500円硬貨に」と懇切丁寧な字幕付きでの解説まで行っている。なお、これは、「スコッチ&ソーダ」と呼ばれるコインであり、マジシャンの間では、特にシークレット度の高いギミックである。
(4)以下のナレーションとともに、38頁目(1:22)(1:25)の写真に対応する映像が放映されたこと。
「阿部 えー、で、こちらが今VTRにもありましたが、加工されたコインです。例えばこの百円硬貨にたばこを刺すと・・・突き抜ける。
加藤 えー、よくできてるな。
阿部 なぜかというと、裏がふた状になっているからなんです。わかりますか。
加藤 ははあ、単純な仕掛け、仕掛けですよね。」(38頁下から3行目~39頁2行目)
写真は、100円玉シガースルーコインの種が暴露されている様子である。
(5)以下のナレーションとともに、39頁目5枚の写真および40頁目3枚の写真に対応する映像が放映されたこと。
「そしてもう1つ、こちらは五百円玉なんですけれども、パキッと折れて中に、ゴムが、透明のゴムが通されているんです。それで形状記憶ができるんですが、普通ならば、このペットボトルの口からは入らない五百円硬貨がこのためきれいに入ってしまう。こういう仕掛けになっているんです。」(39頁3行目~39頁2行目)
写真(39頁目)は、いずれも500円硬貨のバターコインの種の部分である2枚の破片をゴムでつなぎ合わせて1枚のコインに見立てている構造を、2枚の破片を両側に引っ張ることにより、ゴムの通っている部分までわざわざ見せ、さらには元に戻る様子を撮影したものである。
写真(40頁目)3枚は、上記バターコインをフォールディングコインとして使用し、種の構造を明かしつつ、ペットボトルの口から500円玉が入る様を撮影したものである。なお、テロップには、「売り上げは3億円!? コインマジックで逮捕」とあり、「!?」という不確実なクエスチョンマークとともに、「逮捕」とは全く関係のない種明かしが意気揚々と行われている。
5 甲2の4の9(ウェークアップ!ぷらす(2006年11月18日放送)56頁より)
(1)以下のナレーションと共に、56頁目(1:15)(1:16)の写真に対応する映像を放映したこと。
「こんなことができちゃったのも、本物の硬貨に細工がされていたから。」(56頁8行目~9行目)
写真は、100円玉シガースルーコインの種を暴露しているところを撮影したものである。
(2)57頁の写真2枚に対応する映像を放映したこと。
写真は、いわゆる500円玉のバターコインをフォールディングコインと同じ使い方によって、ペットボトルの口から折り曲げて中へ入れる様子を撮影したものである。なお、「硬貨に穴開けマジシャン逮捕 売り上げ3億円!!」とのテロップまでもが流され、ギミックコインの売り上げだけで3億円の売り上げがでたとしか解釈できないテロップが流された。
【被告テレビ朝日について】
1 甲2の4の1(ワイド!スクランブル(2006年11月15日放送)1頁より)
以下のナレーションと共に、1頁目写真3枚に対応する映像を放映したこと。
いわゆる「バイツアウトコイン」についての種明かしの状況である。
丸川氏により「一見普通の百円玉にみえますが、実はこうして折れ曲がるように、この縁の部分にゴムが仕込んであるんです。」とナレーションが入ると共に、実際にバイツアウトコインを片手に、折れ曲がる様を映像で放送した。
2 甲2の4の3(スーパーJチャンネル(2006年11月15日放送)6頁より)
以下のナレーションと共に、8頁目(1:40)~9頁目(1:48)にかけての7枚の写真に対応する映像を放映したこと。
「龍円 こちら、一見普通の百円玉にみえますが、このようにマジシャンがまるでかみちぎったようにみせる加工がしてありました。」(8頁3行目~9頁1行目)
龍円氏による100円玉のバイツアウトコインの種を暴露したものである。100円玉が食いちぎられる様を撮影した後、種の部分である「かみちぎったように見せて部分的にコインの裏側へ折り曲げて隠してしまう様」を暴露している部分が放映された。
3 甲2の4の6(やじうまプラス(2006年11月16日放送)27頁より)
(1)以下のナレーションとともに、27頁(0:29)~28頁(0:43)までの8枚の写真に対応する映像が放映されたこと。
「龍円 こちら一見、普通の百円玉にみえますが、このようにマジシャンがまるでかみちぎったようにみせる加工がしてありました。」(27頁下から3行目~最終行)
写真は、龍円氏による100円玉のバイツアウトコインの種を暴露したものである。100円玉が食いちぎられる様を撮影した後、種の部分である「かみちぎったように見せて部分的にコインの裏側へ折り曲げて隠してしまう様」を暴露している部分が放映された。
(2)以下のナレーションとともに、33頁目の写真全て及び34頁目(4:04)までの写真に対応する映像が放映されたこと。
「龍円 こちら一見、普通の百円玉にみえますが、このようにマジシャンがまるでかみちぎったようにみせる加工がしてありました。」(33頁)
写真は、いずれも龍円氏による100円玉のバイツアウトコインの種を暴露したものである。100円玉が食いちぎられる様を撮影した後、種の部分である「かみちぎったように見せて部分的にコインの裏側へ折り曲げて隠してしまう様」を暴露している部分が放映された。
4 甲2の4の8(ワイド!スクランブル(2006年11月17日放送)44頁より)
以下のナレーションとともに、50頁目(6:18)(6:20)、(6:26)(6:27)51頁目の写真に対応する映像が放映されたこと。
「大和田 鮮やかだね。これはあのー、今回問題になった、まあ実際のそのコインなんですけど、まあみてみると、こういうふうに折れるように改造してある。でー、ま、この百、百円玉も普通にみえるんだけど、こう曲がるように改造してある。そして、まぁ、これはもうわかりやすいんですが、百円玉、穴があけてあって、ここにたばこを通したりするように偽造している。」(50頁8行目~51頁2行目)
写真(6:18)(6:20)は、キャスターの大和田氏が、500円玉のフォールディングコイン(二つ折りタイプ)を折って、種を明かしているシーンが撮影・放映されたものである。
(6:26)(6:27)の写真は、同じくキャスターの大和田氏が、100円玉のバイツアウトコインの種の部分を折り曲げて種を明かしているシーンである。
51頁目の写真は、キャスターの大和田氏が100円玉シガースルーコインの中央穴あき部分を強調して、カメラに示しているシーンである。
第4 アメリカ合衆国における貨幣損傷等の取り扱いについて
被告テレビ朝日が引用した法令に関しては、残念ながら日本における貨幣損傷等取締法の射程範囲と異なるものであり、的はずれである。以下に解説を加える。
2006年12月に、米国において同様の法律が公布された。内容的には、5セント及び1セント硬貨の輸出、鋳潰し、処理の禁止についての法律である。米国内における報道(U.S.ミントプレス)によれば、金属の価格が急激に上昇した(1セント硬貨は1.12セントの価値が、5セント硬貨は6.99セントの価値がある)ことから、鋳つぶすことを禁止したとのことである。
また、同趣旨の法律は、以前にも、金属の急激な上昇により、1967年から1969年にかけて銀貨の鋳潰しを禁止した法律や、1974年から1978年にかけて1セント硬貨の鋳潰しを禁止した法律があったと報道されている
米国における同趣旨の法律の制定背景は、まさに貨幣損傷等取締法の立法趣旨(立法経緯)と全く重なるものである。
米国内においても、当然ギミックコインは存在するが、それでは上記新法によってギミックコインの製造が禁止されるのかというと、もちろんそうではない。
セクション82.2に例外規定が定められており、その(b)において、禁止規定は、教育、娯楽、装飾品、宝飾等の目的のためのこれらのコインの処理については、適用されるべきではない、とされており、ギミックコインが「娯楽目的」にあたることから、その製造は適用対象にはならないという扱いになる。
つまり、上記法律が貨幣制度の維持を目的としており、仮に、原判決と同様に「米国発行の貨幣に対する信用を維持し、その円滑な流通を確保するとの観点」と捉えているとしたとしても、上記適用除外事由にあたる場合には、このような法益は犯されないとの認識に立つものということができ、いずれにしろ本件のような場合に、同法が適用されることにはならないのである。
第5 マジックは、「秘された」「花」を楽しむ芸術であり、その花の仕組みが暴露されてしまっては、全く成り立たないのである。これは、人間で言うところのプライバシーと同じものであり、これが暴露されてしまっては人格的生存が成り立たないのと同じである。
花伝書には、「秘事といふことを現はせば、させることにてもなきものなり。これを、させることにてもなしという人は、いまだ秘事といふことの大用知らぬがゆゑなり。」(講談社文庫 川瀬一馬訳:秘事ということの内容を暴露して見れば、たいしたことでもないものである。それを秘事というものはたいしたことでもないと言う人間は、まだ秘事ということの大きな効果を知らないからだ。)とある。
芸における秘事は、芸人だけが守ろうとしても守れるものではない。秘事を守ることにTV局をはじめとするマスコミも協力しろとは言わないが、積極的に暴露してよいとする合理的な理由は全くないし、本件においても暴露してよい理由は全くない。
最低限のルールとして、このような秘事を暴露するに当たっては、それを守っていこうとする専門の団体、それぞれの芸能界があり、マジックの世界においても、(社)日本奇術協会、SAM等の団体があるのだから、事前のお伺いを立てるべきであったし、そうすべき義務が被告らにあったと認定することは、社会通念上当然のことである。
本件において、御庁におかれては、このような被告らの義務違反を見過ごすことがないよう、公正かつ文化的な判決を求める次第である。
以 上