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2008年01月28日
先生は私の命です。
今朝、依頼者の一人が亡くなった。もうすぐ80歳になるお婆ちゃんである。
元の旦那に散々良いように金づるにされ、元旦那がある人に貸金の担保に抵当権を付け、その抵当権を譲り受けたような形で、かろうじて元旦那に貢がされたお金を回収できるはずだった。
ところが、お金を借りたはずの人が、「こんな抵当権の設定は無効だ。抵当権の登記を抹消しろ。」と、元旦那と依頼者のお婆ちゃん相手に裁判を起こしてきた。お金を借りたはずの人は、仮病を使ったり、依頼した弁護士との折り合いが悪いとかで、のばせるだけ裁判を引き延ばし、現在も係属中である(第1審では、こちら側が完全勝訴。現在、相手が不服として控訴している)。
元旦那は、小さな出版社を経営していたが、この裁判を起こされたのと前後して、会社は事実上倒産。少しでも高く、営業権を買い取ってくれる方が現れ、その資金で債権者に少しでも配当をし・・・と思っていたものの、その元旦那は緊急入院。医師の診断は、末期癌。みるみるうちに体は弱り、寝たきり状態に。
元妻である依頼者は、不本意ながらも誰も看病人がいない元旦那のために、着替えを持参したり、入院費を立て替えたり、この期に及んで憎んでいた元旦那の世話をする羽目になった。
元旦那は、植物状態になる直前に、営業権の売却を断念し、事務所の明け渡しを決意するも、すでに従業員はおらず、依頼者のお婆ちゃんが私のお手伝いの元に、一人気をもみながら頑張り続け、ようやく年末の押し迫ったところで、明け渡しの目途がついた。
「年が明けたら、先生も一緒に新年会でも開こうかしらね。」
なんて言いながら、年内はお別れ。
年が明け、仕事始めで依頼者のお婆ちゃんに連絡をとろうとしても取れない。息子さんから連絡をもらい、「母は、年明け早々に倒れました。肺ガンの末期癌で、もう長くないそうです。」とのこと。
依頼者のお婆ちゃんは、倒れると共に痴呆も始まり、突然私のところに電話をしてきては「息子に殺される~」と叫び出す。
体中もむくみが激しく、全くの別人になっていた。
それでも、私が自宅へ訪ねて実際にお顔を合わせて話しをすると、「ウン、ウン。」と話も分かるようで、また、気分的にも落ち着くようだった。息子さんは、「母がまともに話しをするのは、お医者さんと先生くらいです。」と。
その後も、息子さんや依頼者のお婆ちゃんからのSOSがあると、自宅へ駆けつける日々が続いた。
そして、先週の金曜日。「先生に話しがあるそうです。」と息子さんから電話をもらい、駆けつけると、すっかり体のむくみも取れ、また、モルヒネによって痛みからも解放され、平和な顔をされたお婆ちゃんがいた。
「先生のことを心から信頼しとります。先生は、私の命です。」
その言葉を聞いたのが、私とそのお婆ちゃんとの最後の場面になってしまった。
元旦那は、まだ病院で植物状態である。結局、お婆ちゃんの方が先に逝ってしまった。
何ともいたたまれない一日である。
合掌
投稿者 ono : 2008年01月28日 16:13
コメント
「わたしの命」でおわっていましたから
いったい何の意味なんだろう?
ずっと考えていました。
「お金を取り返そう」(で、いいのかしら?)
お話の内容からしたら普通の人は最初の時点で頓挫してしまいます。
弁護士さんが先生だったからいろいろあったけど
なんとかたどり着くことができ安心したのでしょう。
先生は「命の恩人」だったのですね。
投稿者 希美 : 2008年03月05日 18:12