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2007年04月16日

【マジック裁判・刑事】貨幣損傷等取締法違反の判決!

新聞報道等ですでに御存じの方もおられると思いますが、http://www.47news.jp/CN/200704/CN2007041301000656.html先日のブログで書きました、貨幣損傷等取締法違反、及び関税法違反被告事件の刑事裁判の判決がでました。
結論としては、有罪判決でした。藤山さんの演じた手品に嬉々として喜んで居られた裁判官の判決としては、あまりにも普通すぎる内容で、残念な内容です。

弁護人の主張に対する判断について、裁判所が判決において示された部分を全文引用します。

弁護人の主張というのは、判決の内容を引用すると以下のとおりです。
1 貨幣損傷等取締法違反について
①貨幣損傷等取締法の立法経緯に照らし、同法は補助貨幣を地金として販売又は使用する目的で損傷等する行為を処罰するものであるから、マジック用品として販売するために貨幣を切削等することは「損傷」に当たらない。
②真貨を加工したマジック用コイン(いわゆるギミックコイン)の製造はギミックコインによる演技というマジシャンにとっての正当業務行為(刑法35条)に必要不可欠な行為であるから違法性が阻却される。
③ 本件は可罰的違法性がない。
2 関税法違反について
  本件ギミックコインは関税法が輸入してはならない貨物として規制する「貨幣の変造品」には当たらない。
3 憲法21条1項違反について
  貨幣損傷等取締法違反と関税法を重畳的に適用することは、日本円のギミックコインによるマジックを封鎖することになり、表現の自由(憲法21条1項)に含まれる手品を演じる自由を不当に制約するので、本件にこれらの法律を適用する限りにおいて違憲である。

裁判所の判断は以下の通りです。
1(貨幣損傷等取締法違反)について
  ①について、貨幣損傷等取締法の文言上、同法が処罰の対象とする行為が補助貨幣を地金として販売又は使用する目的によるものに限られないことは明きらかであり、また、「損傷」という文言の通常の意義に照らして、本件ギミックコインのように貨幣の片面を削る等の行為が貨幣の損傷に当たることもまた明きらかである。弁護人は、貨幣損傷等取締法が貨幣の券面額よりもその地金自体の価格の方が高く不釣り合いであった時代に貨幣を鋳つぶして地金として販売することを防ぐ目的で制定されたもので、現在はそのような状況はなく、同法はその使命を終えたと主張するが、同法は、日本国政府発行の貨幣に対する信用を維持し、その円滑な流通を確保するとの観点から、特にその貨幣としての経済的価値が比較的低いが故に故意に損傷等されるおそれがあるとしてかかる行為を処罰の対象としたものと解されるから、現在においてもなお一定の存在意義を有しているというべきである。
  ②について、刑法35条の「正当な業務による行為」といえるためには、当該行為が法秩序全体の見地から見て社会的に相当と認められることが必要であるところ、前記のとおりの貨幣損傷等取締法の趣旨のほか社会通念に照らすと、マジシャンのギミックコインによる演技自体はともかく、日本円の真貨を材料とするギミックコインの製造や輸入については社会的に相当とは認めがたいのであって、本件のごとくマジック用品として販売するためにギミックコインを製造する目的で貨幣を集める行為は正当な業務による行為ということはできない。
  ③については、本件において被告人3名が損傷する目的で集めた貨幣は500円貨幣50枚、100円貨幣50枚及び10円貨幣100枚の合計200枚であり、損傷の程度も内部をくり抜くなど著しいものであって、可罰的違法性がないとはいえない。
2(関税法違反)について
  関税法上の輸入してはならない貨物である「貨幣の変造品」の「変造」とは刑法148条1項等における「変造」と同様に、真正な通貨にその特徴を保持しつつ変更を加えることをいうと解されるところ、被告人3名が輸入しようとしたギミックコインは、一見真正な通貨としての外観を有しながら、実際には貨幣の片面全体を切削したり、貨幣の内部を削って磁性体を間に入れたりするなど重大な変更を加えており、貨幣としての強制通用力を失う程度にその実質を削減されたものであるから、「貨幣の変造品」に当たるというべきである。
3(憲法21条1項違反)について
  手品ないしマジックを演じる自由が表現の自由(憲法21条1項)に含まれるものとして保障されるとしても、その自由が公共の福祉による制約を受けるのは当然のことである。そして、貨幣損傷等取締法の目的は上記のとおり貨幣に対する信用を維持し、その円滑な流通を確保することにあり、また、関税法が貨幣の変造品を輸入禁止する目的も同様に貨幣に対する信用を保護し、経済秩序を維持することにあると解され、いずれの目的も正当であり、各罰則規定はその目的達成の手段として必要最小限度の規制ということができる。確かに、これらの法律により、日本円の貨幣を材料としたギミックコインによるマジックを行うことは事実上困難になるが、これらの法律は、マジックを演じる自由を直接規制するものではなく、また、コインを使用したマジック全般が制約されることになるわけではないから、マジックを演じる自由に対する公共の福祉に基づくやむを得ない制約というべきであって、適用違憲の問題は生じない。

とのことだそうです。
 私の主張したところのうち、上記のような判断の妨げになるところは、触れることもなくスルーしているところも多々あり、また、マジックの奥深さ(色々な意味で)を理解していないが故の判断でもありますので、まだまだ控訴審で十分に戦う余地が残されている、というのが率直な感想です。

 なお、例の日テレ・テレ朝裁判の法ですが、現在記者会見に大物マジシャンの同席をお願いするべく、動いております。その関係で、提訴が来週くらいにずれ込むことになりそうです。原告団に参加したいという方、まだまだ間に合いますので、是非私宛に問い合わせ下さい。


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関連記事のリンク(4月20日追記)

【ライブドア ニュースより】
http://news.livedoor.com/article/detail/3126143/

【日刊スポーツ 阿曽山大噴火コラムより】
http://www.nikkansports.com/general/asozan/2007/asozan086.html

投稿者 ono : 2007年04月16日 19:12

コメント

とりあえず、残念な結果ですね。
アメリカでは観光地でコインに記念の刻印をする機械が置いてあったり、ギミックコインそのものが存在したりするようですが、日本とは法的、文化的に何が違うのでしょうね。

投稿者 JunK : 2007年04月17日 00:07

>JunKさん

コメントありがとうございます。
判決によれば、貨幣損傷等取締法は、日本国発行の貨幣に対する信用を維持し、その円滑な流通を保護するのが目的だそうです。いつからこのような目的に変化したのでしょうかね。

また、そうであるならば、紙幣はどうするんでしょうか?日本銀行発行だから、信用を維持する必要も円滑な流通を保護する必要もないかのごとき内容です。

さらに、JunKさんご指摘のように、アメリカでもイギリスでも貨幣に手を加えることは禁止されておらず、マジック用のコインに加工することはおろか、おみやげ用のメダルにしてしまうことも全く許されています。でも、それによって米国あるいは英国発行の貨幣に対する信用が維持できず、円滑な流通も保護できないだなんて、聞いたことがありません。

結局、この判決は、片手落ちの批判を免れず、ただ違憲判決を書きたくないがための、無理矢理の屁理屈を並べ立てただけなのです。

裁判所は、こんなことをいいながらも、被告人らをして「被告人らは本件各所為が違法であることを明確に認識した上で敢行したものではなく」と認定しています。だったら、どうして有罪になるのか?やはり、違憲判決を書きたくないのです。

合憲であるにしろ、違憲であるにしろ、もう少し筋の通った内容の判決を頂きたかったというのが率直なところです。

投稿者 小野 : 2007年04月17日 13:59

まず、検察官の頭の固さに、本当にあきれた。
だって、マジックでしょ?手品でしょ?
何で有罪に辿り着くような論理構成を発想するのか、
わけが分からん。
裁判官も裁判官で、違憲判決書きたくないがために、有罪に持っていったんでしょうが、これは最高裁にまでもっていかないと決着しないのでは?
控訴審、上告審とまだまだ望みはある!
がんばってください。

投稿者 ブースカ : 2007年04月17日 19:31

>ブースカさん
コメントありがとうございます。
本当に、おっしゃるとおりです。
最高裁まで持っていって、是非、最高裁の裁判官の意見を直接聞きたいですね。
どうして人を喜ばせているマジック業界の人間が、犯罪者の汚名を着せられなければならないのか、なぜ今頃になって規制を始めるのか、全く訳がわかりません。

投稿者 小野 : 2007年04月17日 19:46

先輩、どうも!
地元の新聞見て、先輩のご活躍と残念な判決に驚きました。
見解の相違って言うんですかね・・・。
人々を楽しませるマジック。今回の判決は、私も表現の自由を阻害しているように思います。

日本は、まだまだ古い考え方が残っていますね。

先輩、応援しています。頑張ってください!!!!

投稿者 さやパパ : 2007年04月18日 00:41

>さやパパさん

コメントありがとうございます。全国紙に載ったせいか、地元の同級生や後輩たちから、応援のメールを頂き、有り難い限りです。

日本は、過去の遺物に一生懸命しがみつこうとする悪い習慣があります。(全てが悪いとは言いませんが)
その最たるものが、古い悪法を廃止しないという、国会の立法不作為にあるのだと思います。

投稿者 小野 : 2007年04月18日 10:29

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