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2007年03月15日

映画「それでもボクはやってない」

法律相談に来られる方や、依頼者の方から、何度となく「先生、この映画、観ました?」と話を振られ、「まだ観られてないんですよねぇ。」と答えるのも心苦しく、先日、ようやく千秋楽間近になって、仕事の合間に観てきました。

いやはや、良くできた映画です。
最初に当番弁護士で接見に行った弁護士の「認めれば早くでられるよ。」とのアドバイス、私も似たようなことを言うことがあります。
もちろん、「何を一番優先すべきかをよく考えてください。いろいろな選択肢があります。」と前置きしますが。

否認して無罪がとれる確率、勝ち負けは別にして裁判に掛ける労力と時間、それによって失われるもの(自由、仕事、家族等)等、実際の刑事弁護にあたっては、弁護人が無罪を主張したくてもできない場合がありますし、本人が無罪を主張したくても弁護人がそれを思いとどまるのも一案だと提案することもある。

この映画では、揺れる弁護人と被告人の気持ちが、よく表れていたように思います。

私も痴漢の事件をよく弁護します。
その中には、実際にやり、罪を認めて早急に示談を取りに行き、告訴を取り下げてもらって不起訴に持ち込むケースが圧倒的に多いですが、中にはやはり否認するケースもあります。

もう、何年も前になりますが、私が扱ったケースでは、大学院を卒業して就職したばかりの青年が、埼京線内で高校生に痴漢を働いたという容疑でした(迷惑防止条例違反)。青年は、当時の状況を私に事細かに語り、そこで聞いた話を元に、青年のお母さんと一緒に、実際に事件があったとされる同じ時間帯の電車に乗り込み、その混雑さ加減で、本当に痴漢行為が可能なのか、この映画と同じように、実況見分をしました。

青年の話から、ある程度、やってないという心証がとれたことと、青年の勤務する会社の社長はじめ役員の方が、「是非無罪を勝ち取ってこい。」とのエールを送ってくれたこともあり、この件では青年も臆することなく、否認を貫き通しました。

映画と同じように、青年の部屋に「いかがわしいもの」がないか、捜索が入りました。まぁ、独身男性の部屋に、アダルト系の雑誌やビデオがない方がおかしいのですが、警察や検察は、まるで鬼の首を取ったかのようにそれらのものを差し押さえます。

私も、直接検察庁を訪ね、「だから何だ?」と相当食ってかかり、被害者の証言以外に証拠のない案件だったので、「このまま起訴しても公判維持できるのか?」と詰問したりしました。
私とのやりとりのときは、余裕な顔をしていた検察官も、結局20日間勾留の満期の時に、青年を「処分保留」という形で釈放しました。

それまでの間、被害者の女性から本当のことを聞きたいと、遠方まで青年のお母さんと一緒に出向き、夜まで女性の帰りを待ち伏せしたり、やっと捕まえたと思っても、女性はただ泣くばかりで、細かいことを聞くと「よく覚えていない。でも私は痴漢されたんだ。」と、たいした話も聞き出せずに終わりました。

私の事件の場合は、結局処分保留で、起訴されずに済み、事なきを得ましたが、先の映画を観ながら、私の事件もあのまま起訴されてたらどうなっていたのだろうか、と思わずにはいられなくなりました。

周防監督のブログ
http://soreboku.cocolog-nifty.com/blog/2007/03/2007926_f030.html

投稿者 ono : 2007年03月15日 14:48

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