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2007年03月14日

【判決】「原告は、被告に対し、金100万円を支払え。」との判決主文!

平成19年3月8日に東京家庭裁判所で言い渡しのあった判決で、珍しい判決がありましたので、ご紹介します。

私が担当した離婚事件でした。妻側から離婚の訴えをされているご主人の方の代理人、つまり、被告側です。

事案の概要は、夫婦二人で20年近く、指圧業を営んでいたが、被告側の母親が重病になり、妻子に一緒に田舎に来てくれないかと頼んだところ、妻から拒否され、それが原因で夫婦仲が悪くなり、ある日やりきれなくなった被告が深酒をし、それが原因で手を挙げてしまったのを、ここぞとばかりに離婚原因にされ、離婚の請求をされたというものです。

妻側(原告)は、離婚の請求と、慰謝料、そして財産分与を請求してきました。分与すべき財産としては、被告が所有している株式と保険の解約返戻金のそれぞれ半分ということでした。それに加えて、お店の賃借権の確認を求めてきました。

こちら側(被告)は、離婚は争うものの、もし離婚を認める判決が出たときのことを思って、「仮定的財産分与の申し立て」というのを行い、その中で、同じく妻側の非行行為につき慰謝料と、営業用借家権の設定請求、これが無理な場合には、財産分与として離婚したら指圧業を東京で事実上できなくなり、今後妻が一人でお店を引き継ぐことになることから、向こう数年間にわたって被告の得られるべき利益を財産分与として請求しました。いってみれば、のれん代を評価しろ、といった請求です。

これについては、離婚事件の判例をみても、該当事例がなく、原告側の代理人は強気な一方、こちら側の主張の内容に同情してくれる裁判所は、その計算の仕方がわからない(先例がないからしょうがない)とのことで、私の方もいろいろと問い合わせたり、調べたりしたのですが、なかなかこれといった決定打がないまま、結審をむかえることになりました。

こちらのねらいとしては、慰謝料は相打ち、財産分与については同情的な裁判官に期待して、こちらも相打ちで、最終的にこちら側の出費がゼロになる形で決着がつけば万々歳だと思っていました。そして、判決の日を迎えたわけです。

主文
1 原告と被告とを離婚する。
2 原告と被告との間で、お店の賃借権が原告が有することを確認する。
3 原告は被告に対し、金100万円を支払え。

最初、主文3を見たときには、印刷ミスかと思いました。「原告が被告に支払え」だなんて見たことがありません(笑)。
判決の内容をよく読むと、被告が求めたいわゆるのれん代が評価され、株式等との差し引きにより、なお100万円の余剰が被告側にあるとの趣旨でした。

判決の該当部分を引用すると、以下の通りでした。
「離婚が成立した場合には、被告は本件指圧所で原告と一緒に指圧の仕事をすることは実際には困難になり、しかも、被告が求めている営業用借家権の設定請求は、現実には不可能であるため、被告自身もそれを希望しておらず、金銭での補償を求めている。
 そうであれば、原告の離婚請求を認容する以上、原告と被告との間で原告が本件賃借権を有することを確認することとし、これにより、原告は、被告を「お店」から排除して本件指圧所で単独で診療を行うことができるようになるのであるから、原告は、「お店」で仕事をする機会を失う被告に対して一定の補償をすべきであり、その額は、現在の被告の税引後年収の約5年分と解するのが相当である。」
つまり、
 現在の被告の税引後年収の約5年分
というのが、裁判所の見解として、今回示されたのでした。

先例のないところでもあり、ある意味画期的な判例であると評価されるべきでしょう。
夫婦で事業を行っている場合の離婚に際して、閉め出される側のよりどころと今後なっていく判例であり、意義のあるものだと思っています。


投稿者 ono : 2007年03月14日 15:52

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