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2007年03月06日

【マジック裁判・刑事】ギミックコインの刑事裁判、判決は4月13日!

一つ前のブログに書きました、ある東京のマジシャンが、ギミックコインを海外に発注するために日本の貨幣を集め、かつ、海外で製造してもらったギミックコインを日本に輸入したという行為が、貨幣損傷等取締法違反および関税法違反で起訴された刑事裁判の初公判が、今日、東京地方裁判所でありました。

ここのブログで宣告していたとおり、無罪主張をしてきました。
理由としては、以下の4つです。
1つ目は、そもそも、貨幣損傷等取締法の「損傷」に該当しないし、関税法の「変造」貨幣にも該当しない。
2つ目は、ギミックコインを発注、輸入する行為は、マジシャンの正当な業務行為の一環として行うものであり、違法性がない。
3つ目は、仮に違法であったとしても、可罰的な程度ではなく、社会的に不相当な行為とはいえず、同様に違法性が阻却される。
4つ目は、本件のようにギミックコインを海外に発注し、輸入する行為まで規制されたのでは、日本円によるギミックコインは世の中にあってはいけないことになり、これはマジシャンに対する日本円のギミックコインによるマジックを禁止することになり、これは手品を演じる自由、すなわち憲法上認められた表現の自由に対する不当な制限であり、本件にこれらの法律が適用される限りで、違憲である。
というものです。

いずれ、法廷で述べた弁論(15ページ相当)を公開しますので、詳しいことはその中でお読みいただければと思います。

それより何より裁判自体は、非常によい裁判でした。
無罪主張、憲法違反の主張に対して、裁判官が非常に良く耳を傾けてくれました。

今日の裁判の目玉は、証人としての藤山新太郎さんの証言が聞けること、そして、前代未聞の法廷においてマジックの実演を実現させることでした。

こちらから、書証として11種類(ボボのモダンコインマジックや、ホーカス・ポーカス・ジュニアの写し、ダイバーノンの略歴、ターベルコースの写し等々いろんなものを出しました。)、証人として藤山さんを、検証として藤山さんによるコインマジックの実演を請求しました。
案の定、検察官は国会の議事録と法律のコンメンタールを同意したのみで、後はすべて関連性がないとのことで不同意でした。
しかしながら、関連性がある旨を具体的に私の方で説明すると、裁判官は検察官の意見をすべて退け、結局すべての書証を証拠として採用してくれました。

藤山さんの証人申請も、検察官は必要性がない旨意見を述べていましたが、弁護側が主張する違法性の阻却に関すること、また、憲法違反の主張にも関連することを裁判所が理解してくれ、採用してもらいました。
それよりなにより、これは私もびっくりしたのですが、「マジックの現象を口頭で説明するのは難しいため、実際に目の前で見て頂きたい。そのために、法廷で手品の実演をさせて頂きたい。つまり、検証の請求をさせていただきたい。」という請求をしたところ、裁判官は、「検証ということになると手続き的にいろいろと面倒なところがあるので、証人尋問の中で必要な場面で手品を演じるということでいかがですか?」と実演することを認めてくださったのです。

もちろん、検察官からは、「手品の実演をするというのは、前例のないことですし、事実を語るという証人尋問としての性格にそぐわない。」と反対意見を述べておられましたが、その意見を退け、藤山さんによるギミックコインを使ったマジックの実演がなんと実現されたのでした。シェルコインを使ったコインの変化の現象を見せて頂きました。

藤山さんの証言は、実に見事でした。そして、打ち合わせになかった事実が明らかになりました。それは、和妻の世界では、実は江戸時代から、一文銭のギミックコインがあったという事実であり、その奇術が未だに行われているということでした。日本における日本円によるギミックコインの歴史が、こんなに古くあることを初めて知りました。

被告人らの法廷における受け答えも実に立派でした。ギミックコインを国内で作ることは何となく法律に引っかかるということは知っていたが、海外に発注する行為まで法律に引っかかるということは、全く思っていなかったこと。ましてや、集める行為が法律に引っかかることなど夢にも思っていなかったことをハッキリと供述することができました。
また、なぜ法律に引っかかるかもしれないと思いながらも、マジック業界においてギミックコインが売られ続けられてきたのかということについて、規制される合理的な理由が見いだせないからだ、ということもそれぞれに主張することができました。その通りだと思います。規制される理由に納得するからこそ、人はその規制に従うのであって、納得のできないものに対して規制される謂われはないのです。

もちろん、なぜマジシャンは日本円のギミックコインを使いたがるのか、という問いに対して、ダイ・バーノンの''Be Natural !''という教えがあり、非常に説得力があることをマジシャンは肌を持って感じていることも供述できました。

検察官は、まさかこのような展開になるとは思っていなかったようで、法廷においてその準備不足が露見された格好になり、しどろもどろといった感じで、被告人サイドの情熱に圧倒されている感じでした。

検察官によるありきたりの論告に続いて、私の方で15ページにわたる弁論を読み上げました。時間の関係で骨子だけでしたが、傍聴人から後から聞いた話では、私の読み上げる弁論に、裁判官は一つ一つ頷きながら、一生懸命聞いてくださっていたとのことです。

最後の締めで、「無罪の判決を賜りたく、弁論する次第です」と述べたところで、傍聴席から拍手が起きました。こんな経験は初めてです。正味、2時間30分の裁判でした。

判決は、4月13日午後2時30分から、30分掛けて行われることになりました。どこまでこちら側の主張を裁判所が酌み取ってくださるのか、今から待ち遠しい限りです。
良い判決をいただけるよう、願うばかりです。

投稿者 ono : 2007年03月06日 20:59

コメント

おっ、なんだか素晴らしい展開ですね^^

投稿者 クラパス : 2007年03月06日 22:07

お疲れ様でした。(^_^)
この好感触では良い結果を期待しちゃいますよ!!!!

あッ!忙しさにかまけて書類とカンパ送ってませんでした。あとでメールします。

裁判所でマジックがされたことは確か中国であったと聞きました。バーで若い女性にマジックを見せているうちに胸を触っていた男が逮捕され、裁判の席でそのマジックを実演したそうです。

投稿者 JunK : 2007年03月07日 08:59

>クラパスさん

そうなんです。私も法廷で裁判をやっていて実に気持ちが良かったくらいですから(笑)。

>JunKさん

何せ、無罪判決はおろか、憲法違反の判決となると、世の中で一番難しいのではというほどの確率ですから、何ともいえませんが、何かしらの裁判所の判断が示されるはずですので、判決の言い渡しは十分期待していてよろしいかと思います。
そういえば、その中国のマジックとやら、火のついたたばこを消しちゃうというマジックでしたよね。テレビで見たことがあります(笑)。

投稿者 小野 : 2007年03月07日 16:37

小野さん、お疲れさまでした。
素晴らしい裁判でしたね。
皆さんと同じく、良い結果を期待しちゃいます。


投稿者 カミカゼ : 2007年03月07日 22:13

>カミカゼさん

コメントありがとうございます。
ここのところ、自分でもびっくりするくらい、神懸かり的な裁判や判決が続いています。この調子で良い判決が出てくれるとありがたい限りです。

投稿者 小野 : 2007年03月08日 15:35

お疲れさまです。
日本から奇術の灯が消えることのないよう、
正しい判決が出ることをお祈りします。

投稿者 くま : 2007年03月11日 13:33

初めまして、NOBと申します。
日本でもマジックという芸術が認められてきた気がして、
とてもうれしいです。

4月13日を楽しみに待ってみたいと思います。^^


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どうしても小野先生に伝えたいことがあったので、
下に書かせてください。m_ _m
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最近、鉄人社という出版社から出た
「人気マジシャンのタネぜんぶバラします」
https://tetsu692.securesites.com/xoops/html/modules/shop/index.php?main_page=product_info&products_id=141
という本がいろんな店頭に置かれているのですが、
私は、
日米のプロマジシャンが使っているトリックをこのような安価で、
売られているのが、腹立たしくてたまりません。
こういうのは、(日米問わず)著作権違法に当たらないのでしょうか?

それとも、こういう本は、
「あくまでもトリックの推測に過ぎないから、違法性はない」
と諦めざるをえないのでしょうか?


法律相談に関することをお金も払わずに、
「お答えしていただけないでしょうか」なんて失礼なことは言えません。
でも、もし、少しでも違法性があるのでしたら、
この、鉄人社という出版社に対して、何らかの抗議をしていただけないでしょうか

投稿者 NOB : 2007年03月29日 23:07

マジックを愛するものとしてとても誇りに思いました。
これからも是非頑張って下さい!

投稿者 パーム : 2007年05月02日 21:32

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