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2007年03月30日

「人気マジシャンのタネぜんぶバラします」

ブログに書き込みを頂きましたので、購入し読んでみました。

「またか。」
これは、まさに奇術界が馬鹿にされているとしか言いようがない。

こういう輩は、許すわけにはいかない。といっても、私一人で言っていても仕方がない。
今回は、根こそぎ、出版社である鉄人社から、この雑誌を売り上げたことによる利益をすべて奪い取ってやるくらいのことをやらなければならない。

そのためには、ネタの考案者に実際に出てきてもらうしかない。

ネタの考案者がハッキリしているものも、暴露の対象になっていることから、彼らに立ち上がってもらわなければなりません。
ネタの考案者は、その発表を必ず文章(解説)をもって行うことから、そのコピーライト(著作権)が犯されているという構成は、可能であると思われます。
民事、刑事を問わず、法的措置がとれそうですし、先日の日テレ事件よりも明らかにやりやすい。

名指しされたセロたちも立ち上がって、不正競争防止法違反で鉄人社を訴えることも可能だと考えますし、それくらいのことをやるべきではないかと思います。

奇術界が馬鹿にされないために、奇術の種を守っていくために、今回は被害者が明らかに存在する以上、その「直接の被害者」が立ち上がらなければならないと思うし、そうでなければ意味がありません。

ネタの考案者や名指しされたマジシャンからの連絡があれば、いつでも手をお貸しするつもりです。

投稿者 ono : 15:47 | コメント (5)

2007年03月15日

映画「それでもボクはやってない」

法律相談に来られる方や、依頼者の方から、何度となく「先生、この映画、観ました?」と話を振られ、「まだ観られてないんですよねぇ。」と答えるのも心苦しく、先日、ようやく千秋楽間近になって、仕事の合間に観てきました。

いやはや、良くできた映画です。
最初に当番弁護士で接見に行った弁護士の「認めれば早くでられるよ。」とのアドバイス、私も似たようなことを言うことがあります。
もちろん、「何を一番優先すべきかをよく考えてください。いろいろな選択肢があります。」と前置きしますが。

否認して無罪がとれる確率、勝ち負けは別にして裁判に掛ける労力と時間、それによって失われるもの(自由、仕事、家族等)等、実際の刑事弁護にあたっては、弁護人が無罪を主張したくてもできない場合がありますし、本人が無罪を主張したくても弁護人がそれを思いとどまるのも一案だと提案することもある。

この映画では、揺れる弁護人と被告人の気持ちが、よく表れていたように思います。

私も痴漢の事件をよく弁護します。
その中には、実際にやり、罪を認めて早急に示談を取りに行き、告訴を取り下げてもらって不起訴に持ち込むケースが圧倒的に多いですが、中にはやはり否認するケースもあります。

もう、何年も前になりますが、私が扱ったケースでは、大学院を卒業して就職したばかりの青年が、埼京線内で高校生に痴漢を働いたという容疑でした(迷惑防止条例違反)。青年は、当時の状況を私に事細かに語り、そこで聞いた話を元に、青年のお母さんと一緒に、実際に事件があったとされる同じ時間帯の電車に乗り込み、その混雑さ加減で、本当に痴漢行為が可能なのか、この映画と同じように、実況見分をしました。

青年の話から、ある程度、やってないという心証がとれたことと、青年の勤務する会社の社長はじめ役員の方が、「是非無罪を勝ち取ってこい。」とのエールを送ってくれたこともあり、この件では青年も臆することなく、否認を貫き通しました。

映画と同じように、青年の部屋に「いかがわしいもの」がないか、捜索が入りました。まぁ、独身男性の部屋に、アダルト系の雑誌やビデオがない方がおかしいのですが、警察や検察は、まるで鬼の首を取ったかのようにそれらのものを差し押さえます。

私も、直接検察庁を訪ね、「だから何だ?」と相当食ってかかり、被害者の証言以外に証拠のない案件だったので、「このまま起訴しても公判維持できるのか?」と詰問したりしました。
私とのやりとりのときは、余裕な顔をしていた検察官も、結局20日間勾留の満期の時に、青年を「処分保留」という形で釈放しました。

それまでの間、被害者の女性から本当のことを聞きたいと、遠方まで青年のお母さんと一緒に出向き、夜まで女性の帰りを待ち伏せしたり、やっと捕まえたと思っても、女性はただ泣くばかりで、細かいことを聞くと「よく覚えていない。でも私は痴漢されたんだ。」と、たいした話も聞き出せずに終わりました。

私の事件の場合は、結局処分保留で、起訴されずに済み、事なきを得ましたが、先の映画を観ながら、私の事件もあのまま起訴されてたらどうなっていたのだろうか、と思わずにはいられなくなりました。

周防監督のブログ
http://soreboku.cocolog-nifty.com/blog/2007/03/2007926_f030.html

投稿者 ono : 14:48 | コメント (0)

2007年03月14日

【判決】「原告は、被告に対し、金100万円を支払え。」との判決主文!

平成19年3月8日に東京家庭裁判所で言い渡しのあった判決で、珍しい判決がありましたので、ご紹介します。

私が担当した離婚事件でした。妻側から離婚の訴えをされているご主人の方の代理人、つまり、被告側です。

事案の概要は、夫婦二人で20年近く、指圧業を営んでいたが、被告側の母親が重病になり、妻子に一緒に田舎に来てくれないかと頼んだところ、妻から拒否され、それが原因で夫婦仲が悪くなり、ある日やりきれなくなった被告が深酒をし、それが原因で手を挙げてしまったのを、ここぞとばかりに離婚原因にされ、離婚の請求をされたというものです。

妻側(原告)は、離婚の請求と、慰謝料、そして財産分与を請求してきました。分与すべき財産としては、被告が所有している株式と保険の解約返戻金のそれぞれ半分ということでした。それに加えて、お店の賃借権の確認を求めてきました。

こちら側(被告)は、離婚は争うものの、もし離婚を認める判決が出たときのことを思って、「仮定的財産分与の申し立て」というのを行い、その中で、同じく妻側の非行行為につき慰謝料と、営業用借家権の設定請求、これが無理な場合には、財産分与として離婚したら指圧業を東京で事実上できなくなり、今後妻が一人でお店を引き継ぐことになることから、向こう数年間にわたって被告の得られるべき利益を財産分与として請求しました。いってみれば、のれん代を評価しろ、といった請求です。

これについては、離婚事件の判例をみても、該当事例がなく、原告側の代理人は強気な一方、こちら側の主張の内容に同情してくれる裁判所は、その計算の仕方がわからない(先例がないからしょうがない)とのことで、私の方もいろいろと問い合わせたり、調べたりしたのですが、なかなかこれといった決定打がないまま、結審をむかえることになりました。

こちらのねらいとしては、慰謝料は相打ち、財産分与については同情的な裁判官に期待して、こちらも相打ちで、最終的にこちら側の出費がゼロになる形で決着がつけば万々歳だと思っていました。そして、判決の日を迎えたわけです。

主文
1 原告と被告とを離婚する。
2 原告と被告との間で、お店の賃借権が原告が有することを確認する。
3 原告は被告に対し、金100万円を支払え。

最初、主文3を見たときには、印刷ミスかと思いました。「原告が被告に支払え」だなんて見たことがありません(笑)。
判決の内容をよく読むと、被告が求めたいわゆるのれん代が評価され、株式等との差し引きにより、なお100万円の余剰が被告側にあるとの趣旨でした。

判決の該当部分を引用すると、以下の通りでした。
「離婚が成立した場合には、被告は本件指圧所で原告と一緒に指圧の仕事をすることは実際には困難になり、しかも、被告が求めている営業用借家権の設定請求は、現実には不可能であるため、被告自身もそれを希望しておらず、金銭での補償を求めている。
 そうであれば、原告の離婚請求を認容する以上、原告と被告との間で原告が本件賃借権を有することを確認することとし、これにより、原告は、被告を「お店」から排除して本件指圧所で単独で診療を行うことができるようになるのであるから、原告は、「お店」で仕事をする機会を失う被告に対して一定の補償をすべきであり、その額は、現在の被告の税引後年収の約5年分と解するのが相当である。」
つまり、
 現在の被告の税引後年収の約5年分
というのが、裁判所の見解として、今回示されたのでした。

先例のないところでもあり、ある意味画期的な判例であると評価されるべきでしょう。
夫婦で事業を行っている場合の離婚に際して、閉め出される側のよりどころと今後なっていく判例であり、意義のあるものだと思っています。


投稿者 ono : 15:52 | コメント (0)

2007年03月06日

【マジック裁判・刑事】ギミックコインの刑事裁判、判決は4月13日!

一つ前のブログに書きました、ある東京のマジシャンが、ギミックコインを海外に発注するために日本の貨幣を集め、かつ、海外で製造してもらったギミックコインを日本に輸入したという行為が、貨幣損傷等取締法違反および関税法違反で起訴された刑事裁判の初公判が、今日、東京地方裁判所でありました。

ここのブログで宣告していたとおり、無罪主張をしてきました。
理由としては、以下の4つです。
1つ目は、そもそも、貨幣損傷等取締法の「損傷」に該当しないし、関税法の「変造」貨幣にも該当しない。
2つ目は、ギミックコインを発注、輸入する行為は、マジシャンの正当な業務行為の一環として行うものであり、違法性がない。
3つ目は、仮に違法であったとしても、可罰的な程度ではなく、社会的に不相当な行為とはいえず、同様に違法性が阻却される。
4つ目は、本件のようにギミックコインを海外に発注し、輸入する行為まで規制されたのでは、日本円によるギミックコインは世の中にあってはいけないことになり、これはマジシャンに対する日本円のギミックコインによるマジックを禁止することになり、これは手品を演じる自由、すなわち憲法上認められた表現の自由に対する不当な制限であり、本件にこれらの法律が適用される限りで、違憲である。
というものです。

いずれ、法廷で述べた弁論(15ページ相当)を公開しますので、詳しいことはその中でお読みいただければと思います。

それより何より裁判自体は、非常によい裁判でした。
無罪主張、憲法違反の主張に対して、裁判官が非常に良く耳を傾けてくれました。

今日の裁判の目玉は、証人としての藤山新太郎さんの証言が聞けること、そして、前代未聞の法廷においてマジックの実演を実現させることでした。

こちらから、書証として11種類(ボボのモダンコインマジックや、ホーカス・ポーカス・ジュニアの写し、ダイバーノンの略歴、ターベルコースの写し等々いろんなものを出しました。)、証人として藤山さんを、検証として藤山さんによるコインマジックの実演を請求しました。
案の定、検察官は国会の議事録と法律のコンメンタールを同意したのみで、後はすべて関連性がないとのことで不同意でした。
しかしながら、関連性がある旨を具体的に私の方で説明すると、裁判官は検察官の意見をすべて退け、結局すべての書証を証拠として採用してくれました。

藤山さんの証人申請も、検察官は必要性がない旨意見を述べていましたが、弁護側が主張する違法性の阻却に関すること、また、憲法違反の主張にも関連することを裁判所が理解してくれ、採用してもらいました。
それよりなにより、これは私もびっくりしたのですが、「マジックの現象を口頭で説明するのは難しいため、実際に目の前で見て頂きたい。そのために、法廷で手品の実演をさせて頂きたい。つまり、検証の請求をさせていただきたい。」という請求をしたところ、裁判官は、「検証ということになると手続き的にいろいろと面倒なところがあるので、証人尋問の中で必要な場面で手品を演じるということでいかがですか?」と実演することを認めてくださったのです。

もちろん、検察官からは、「手品の実演をするというのは、前例のないことですし、事実を語るという証人尋問としての性格にそぐわない。」と反対意見を述べておられましたが、その意見を退け、藤山さんによるギミックコインを使ったマジックの実演がなんと実現されたのでした。シェルコインを使ったコインの変化の現象を見せて頂きました。

藤山さんの証言は、実に見事でした。そして、打ち合わせになかった事実が明らかになりました。それは、和妻の世界では、実は江戸時代から、一文銭のギミックコインがあったという事実であり、その奇術が未だに行われているということでした。日本における日本円によるギミックコインの歴史が、こんなに古くあることを初めて知りました。

被告人らの法廷における受け答えも実に立派でした。ギミックコインを国内で作ることは何となく法律に引っかかるということは知っていたが、海外に発注する行為まで法律に引っかかるということは、全く思っていなかったこと。ましてや、集める行為が法律に引っかかることなど夢にも思っていなかったことをハッキリと供述することができました。
また、なぜ法律に引っかかるかもしれないと思いながらも、マジック業界においてギミックコインが売られ続けられてきたのかということについて、規制される合理的な理由が見いだせないからだ、ということもそれぞれに主張することができました。その通りだと思います。規制される理由に納得するからこそ、人はその規制に従うのであって、納得のできないものに対して規制される謂われはないのです。

もちろん、なぜマジシャンは日本円のギミックコインを使いたがるのか、という問いに対して、ダイ・バーノンの''Be Natural !''という教えがあり、非常に説得力があることをマジシャンは肌を持って感じていることも供述できました。

検察官は、まさかこのような展開になるとは思っていなかったようで、法廷においてその準備不足が露見された格好になり、しどろもどろといった感じで、被告人サイドの情熱に圧倒されている感じでした。

検察官によるありきたりの論告に続いて、私の方で15ページにわたる弁論を読み上げました。時間の関係で骨子だけでしたが、傍聴人から後から聞いた話では、私の読み上げる弁論に、裁判官は一つ一つ頷きながら、一生懸命聞いてくださっていたとのことです。

最後の締めで、「無罪の判決を賜りたく、弁論する次第です」と述べたところで、傍聴席から拍手が起きました。こんな経験は初めてです。正味、2時間30分の裁判でした。

判決は、4月13日午後2時30分から、30分掛けて行われることになりました。どこまでこちら側の主張を裁判所が酌み取ってくださるのか、今から待ち遠しい限りです。
良い判決をいただけるよう、願うばかりです。

投稿者 ono : 20:59 | コメント (8)