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2006年12月20日

【判決】画期的な判例(婚約の成立が認められなかったにもかかわらず、損害賠償が認められた事例)

http://www.sankei.co.jp/shakai/jiken/061219/jkn061219016.htm

今日の朝刊に、上記のような記事が、産経新聞に出ました。
この事件を担当して、勝訴判決を得たのが、私です。東京地方裁判所平成18年12月19日言い渡しの事件です。

事案は、婚約の一方的な破棄に伴う、損害賠償請求でしたが、裁判所は「婚約の成立は認められない」としつつも、不法行為により損害賠償を認めるという内容のものでした。

私としては、婚約が認められなかったことに対してはおおいに不満が残るものの、判例としては画期的であり、今後の同様の被害者の道しるべになりものと思います。

本日の産経新聞を見た各テレビ局から、取材の申し込みが殺到しており、反響の大きさにややとまどっているところです。

この判決のポイントを示します。
まず、婚約が認められるための要件です。
裁判所は、「婚約は婚姻という身分行為の成立を約束する行為であり、これが成立したというためには、将来婚姻することについての確実な合意が客観的に認められる必要があるというべきである」と判示し、具体的な要素としては、(1)婚約指輪を贈る、結納品を取り交わすなど婚約に当たり通常行われることの多い一定の形式が踏まれていたかどうか、(2)家族に対して交際を隠していなかったかどうか、(3)婚姻の具体的な時期や、同居、挙式の時期・内容等婚姻に向けた具体的な合意ないし協議がされていたかどうか、ということを示した上で、本件における婚約の成否については、これを認めませんでした。

次に、交際の具体的内容を考察し、その交際が将来婚姻することを視野に入れた真摯な交際であったこと、両者の間において婚姻が比較的近い将来のものと意識されていたこと、現実に将来の生活を実現するために相手の賛成を得て転職までしていること等を認定し、これらの状況に鑑みれば、「婚約が成立していなかったとしても、原告は、不当に本件交際を解消されることはないという法的利益を有していたものといえ、本件交際が不当に解消された場合、その態様によっては不法行為を構成することがあるというべきである。」との考え方を示されました。ここが画期的なところです。

結局、表面上は今後とも良好な関係を継続していくかのような態度をとっていたにもかかわらず、突如として交際解消を申し入れ、その後わずか2ヶ月足らずの間に別の男性と婚姻した被告の本件交際解消の申し入れの態様は、「不誠実なものといわざるを得ない。」と認定されています。

そして、裁判所は「もとより、恋愛感情に基づく男女の交際において、交際の当事者が種々の理由から交際の解消を望むようになることは、ある程度やむを得ないものといわなければならないが、原告と被告との交際が、前期(略)の交際であったことに照らすと、これを解消しようとする被告としては、交際解消に向けた真摯な努力をし、可能な限り原告の理解を得るよう努めるべき義務があったといえる。」と判示され、その上で、先のような「被告による本件解消の申し入れの態様は前記義務に反するものであるといわざるを得ない」と断じました。

世の中には、婚約の成否があやふやなゆえに、どうせ訴えても勝てないだろうと、泣き寝入りをされている方が数多くいらっしゃるかと思います。
本件は、婚約が成立しているという前提で提訴し、期せずして上記のような判決を頂いたのですが、この判決が、同様な状況の方の少しでもお役に立てれば幸いです。

投稿者 ono : 2006年12月20日 17:17

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