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2006年11月15日
500円硬貨を加工容疑、マジシャンら4人逮捕
http://www.asahi.com/national/update/1115/TKY200611150235.html
より。
要は、ギミックコイン(貨幣に仕掛けを施すために手を加えたもの)を製造した業者が、貨幣損傷等取締法違反で逮捕されたとのこと。
ちなみに、貨幣損傷等取締法違反とは、以下の条文からなっている。
1 貨幣は、これを損傷し又は鋳つぶしてはならない。
2 貨幣は、これを損傷し又は鋳つぶす目的で集めてはならない。
3 第1項又は前項の規定に違反した者は、これを1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。
ここでいう貨幣とは、狭義の貨幣を指しますので、紙幣は含まず、硬貨のみということになります。
マジック愛好家を自負する弁護士として、本件事件を見聞きした感想としては、
「いたって、無粋かつ、ナンセンスである」
というだけです。
この法律自体の妥当性がどの程度あるのか(紙幣は損傷しても良くて、硬貨は駄目というのも、バランスを欠きます)よくわかりませんが、その点は置いておくとして。
本件の場合、硬貨を悪の目的に使うのであれば格別、みんなを喜ばすための改良です。ただ単に形あるものを駄目にしたという訳ではありません。私物であれば、物の効用を喪失させれば、それは器物損壊といって、立派な犯罪になります。しかしならが、手を加えて(加工して)新たな物に作り出した場合には、そこに新たな価値が付加されます。器物損壊の射程ではなくなります。
本件の場合、まさにマジックで人を喜ばせる道具となるように加工されただけなのです。何も単に通過としての利用価値を喪失させたのではなく、マジックの道具として需要のある人に対して、そのような道具に加工して供給しただけなのです。
マジック界では、古くからギミックコインによるマジックがアートとして確立しているのです。二川さんのコインマジック事典、ボボさんのモダン・コインマジック(洋書)等を見ても、クラシックなマジックの一範疇として必ず紹介されています。そのようなアートを表現する道具になっただけなのです。
この法律は、属地主義といって、基本的に国内においてなされた行為について処罰されるものであって、海外で同じ行為がなされても、処罰の対象になりません。したがって、容易にくぐれるような法律なのです。
このような法律を持ち出して、ギミックコインの製造を国内においてのみ取り締まろうというのは、あたかも國の恣意によるアートの締め出しではないかと思いますし、憲法違反だとも思います。
マジックを演じる行為は表現の自由そのものですが、その道具を作り出す行為は、マジックを演じる上で不可欠の行為であり、憲法的には表現の自由の精神に照らして十分に尊重されるべき行為であると考えます。
従いまして、このような表現の自由の精神に照らして十分に尊重されるべき行為を、法律の恣意的運用によって規制をするのは、憲法に違反する重大な行為であると思うのです。
私の考えでは、確かに同法律の構成要件にはあたるものの、違法性はなく、無罪だと考えます。仮に、手品道具を作る場合も含めて全てこの法律の対象になるのだとすれば、この法律自体が憲法に反し、法令違憲になるべきものだと考えます。
結果勝てるかどうかわかりませんが、ぜひともマジック界発展のために、法廷闘争に持ち込んで無罪を争っていただきたいものです。
投稿者 ono : 2006年11月15日 16:55
コメント
こんにちは!
私もおのんのんさんの意見に賛成です。
偽硬貨を作るわけでもなく、犯罪に使われることもない硬貨に
このような、見せしめ的な逮捕は無粋ですよね。
警察はもっと、他にやるべき事があるとおもうんですけどね〜
投稿者 ガメ吉 : 2006年11月15日 21:01
お久しぶりです。
興味深く拝読しました。「とうとう、来たか、、」といった感想です。(^_^;)
一つ教えてください。「属地主義」とありましたが、海外で加工された、国内に持ち込まれた日本硬貨を、所持している、演技で使用している、販売している、というだけでは違法にならないようみ読み取れました。
判例も無いでしょうが、この辺の解釈はいかがなものでしょうか。
投稿者 JunK : 2006年11月15日 21:42
コインの偽造、日本は厳しいんですねえ。
アメリカに住んでいたとき、観光地のいたるところに
必ずあった機械・・・それは、
5セントを入れると、プレスされて、それぞれの地ゆかりのデザインの絵にプレスされて出くるものがありました。
ご参考までに↓こんな感じでした。
アメリカも確か偽装はいけないのですが、アートとしてする場合には許可されていると聞いた事があります。
http://mikakorieko.hp.infoseek.co.jp/sonota-coin.htm
投稿者 りえりえ : 2006年11月15日 23:37
>りえりえさん
コインの偽造はどこの国でも御法度ですが、真価に手を加えて別の物に作り替えることまで御法度にしている国は少ないと思います。
文化レベルの違いというのか、情けない限りです。
>JunKさん
>一つ教えてください。「属地主義」とありましたが、海外で加工された、国内に持ち込まれた日本硬貨を、所持している、演技で使用している、販売している、というだけでは違法にならないようみ読み取れました。
おっしゃるとおりです。抜け穴だらけの法律です。だったら、こんな法律は廃止するか、正当な理由(手品の場合等)を除くと除外事由を設けるかするべきです。
>ガメ吉さん
賛同頂けて嬉しく思います。マジック業界の正念場だと思います。権利のための闘争をしなければ、一生国家に嘗められ続けます。
投稿者 小野 : 2006年11月16日 10:43
2ちゃんねる経由で拝見して法の専門家の方が具体的な行動をしてくれた事に感謝します。私たちが電話やメールで抗議をしても黙殺されるだけでした。日本テレビはマジックを利用して特に悪意に満ちた取り扱いをするので、今後のためにも、納得できる回答を期待しています。微力ですができることがあれば協力させていただきます。(BPO(放送倫理・番組向上機構)、および海外のマジック協会(IBM,WAM)にも日本テレビへの抗議をお願いしておきました。
投稿者 joe : 2006年11月21日 22:15
>joeさん
コメントありがとうございます。
今回、私はSAMの代理として動いていますが、他にも世界レベルの団体から抗議が入るのは、とても有効なことだと思います。
そちらの方の経過報告もお願いします。
投稿者 小野 : 2006年11月22日 10:37