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2006年04月20日
【判決】逆転勝訴!!(保証金の償却の範囲について 平成18年3月20日言渡・東京高等裁判所)
実に気分のよいものだ。一審で完全敗訴だっただけに、感激もひとしおである。
事案は、以下のようなものである。
Aさん(依頼者・外国人)は、仲間と一緒にレストランを経営しようと、B社と店舗の賃貸借契約をした。保証金が1000万円、家賃が135万円、期間3年、保証金の償却は一律50%との約定だった。
Aさん達はお金がそれほどなかったため、保証金の半分をとりあえず入れ、残額を分割払いにしてもらった。お店の利益から支払っていけばよいと思っていたし、家主もそのように考えていた。
しかしながら、お店の経営は思ったほどうまくいかずに赤字続き。分割払いの約定日にもお金を揃えることができず、家主からは毎日お店にこられては矢の催促。結局、約9ヶ月間お店を頑張ってみたものの経営を断念し、契約を解除した。
家主がまた悪いヤツで、Aさんには散々矢の催促を続ける反面、Aさんの共同経営者から、保証金残金を全て代払いさせており、Aさんはそのことを知らなかった。一方、Aさんはそうとは知らず、家主からお金を借りてそれを保証金に充てたことにされてしまい、300万円の借金だけが残った。いずれにしろ、Aさんは、保証金は全額支払ったという認識である。
契約書どおりだと、保証金1000万円のうち50%償却なので、500万円は家主に取られることになる。それはしょうがないとして、残りの500万円を請求してくれないか、との依頼だった。
私としては、9ヶ月で解除したにもかかわらず、それでも保証金の償却一律50%はおかしい。おまけに、依頼者は日本語がしゃべれるとはいえ、堪能ではない外国人であり、ちゃんとした説明がされていない。また、一律50%は暴利であって無効である、仮に無効ではないとしても、中途解約の場合にこれは適用されるべきではなく、約定の償却額を中途解約までの期間と残存期間とで按分し、中途解約までの期間に対応する額についてのみ償却を認めるべきであり、償却できる金額は100万円程度に過ぎない。よって、償却できるのは100万円程度であるから、900万円を返せ!!という裁判を起こしたのである。
先に掲げた私の理屈は、公表されている判例では、地裁レベルに参考判例が1件だけあった(東京地裁平成4年7月23日・判時1459号137頁)。
しかしながら、1審ではこの理屈は取り上げてもらえず、一律50%の償却の約定も有効であるとのことだった。
さらには、家主はAから保証金は700万円しかもらっておらず、300万円は未払のままだと主張した。確かに、領収書等の証拠はない。
さらには、個人的にAに対して、300万円の貸金があると主張してきた。もちろん、これは保証金の残金に充てられたものではないとの主張である。
1審の裁判官は、あくまでも家主にいくらかこちらへ払わせるという前提で、何度も和解を試みていたが、家主が全く応じないため、やむなく判決になった。よくありがちなことで、証拠がないから、こちらの主張は認められない。相手の主張は、300万円の借用書があるから認められる。よって、請求棄却という全面敗訴だったのである。
ところが、天は我々をまだ見放しては居なかった。
まず、事実認定からして覆った。こちら側は、1000万円全ての保証金を支払ったとの認定に変わった。
家主のこれまでの供述を前提から覆すような証拠書類を入手できたからだ(先の、300万円の保証金支払いの領収書)。
一つ崩れると、次々と家主の供述は崩れていき、当初から主張していたこちらがわの主張がほぼ全面的に受け容れられる形となった。
また、法的に重要な意義を持つ点は、「保証金の償却の範囲」に関する先の私の見解が、高等裁判所によって受け容れられたことである。以下、その部分についてだけ、ここに引用する。
『たしかに、本件合意書には、「保証金の償却は建物明け渡し時に50%とする。」と記載されており、中途解約の場合を除くとは記載されておらず、したがって、この文言自体からは、上記償却の定めが借主(控訴人)において本件賃貸借契約を中途解約した場合にもそのまま適用されるものであると解せられないでもない。
しかしながら、①本件合意書に記載された保証金の償却率は50パーセントと極めて高率であり、したがって、実際に賃借した期間が短期の場合にまで一律に50パーセントの償却がなされるとすれば、それは賃借人にとって著しく不利益であること、②本件賃貸借契約の貸主である被控訴人と借主である控訴人との間で上記50パーセントの償却率が中途解約の場合にも適用されるものであると明示的に確認されたことはないこと、③控訴人は、本件賃貸借契約締結の際に保証金のほかに礼金として70万円を支払っていること、④一方、控訴人は敷金を差し入れていないこと、等を考慮すると、本件賃貸借契約における保証金の性質を敷金とは解し得ないとしても、本件合意書の「保証金の償却は建物明け渡し時に50%とする。」との定めは、本件賃貸借契約の契約期間である3年が経過した場合を予定したものであって、中途解約の場合には、約定の償却額を中途解約までの期間と残存期間とで按分し、中途解約までの期間に対応する額についてのみ償却を認めるのが相当であり、これが契約当事者たる被控訴人及び控訴人の合理的な意思に合致するものというべきである。』
全くもって、その通りっ!!というような、胸のすくような内容である。今までは、どんなに中途解約までの期間が短くても、借主は悔しい思いをしながらも、契約書通りだと諦めて、一律に償却されることを受け容れてきたのである。もう、そんな悔しい思いをしなくても良いのである。
家主が上告してくれれば、そのまま上記見解は最高裁で支持されることになろう。画期的なことである。
結局、原判決は殆どが破棄され、こちら側の請求がほぼ全額認められるという、完全逆転判決ということになった。
今日は、おいしいお酒でも飲んで帰ろう・・・・
?? そういえば、車で事務所まで来ていた・・・・(残念)
投稿者 ono : 2006年04月20日 16:53