2005年01月16日
芸人さん達とのお付き合い
数年前に書いた、当時の思い入れをそのままに綴った記事です。
司法試験に合格し、中央大学の法職研究室の専任スタッフの仕事を手伝わせていただくことになった。そこで大学の職員で同級生と大学の教授がやたらと盛り上がっている。「何の話?」と聞くと「マニアックな話だよ。多分聞いてもわかんないよ。」って言うから余計に聞きたくなりしつこく聞くと落語の話だという。「俺も実は大好きなんだ。」って言うと「え?そうなの?」とばかり、僕もその輪の中に入ってしまった。
話を聞いていると、その職員は落研出身である落語家の師匠(春風亭扇枝師匠)から名前をもらったほどその師匠に入れ込んでいるとのこと。その師匠の会(塩原寄席)がふた月に1度、銀座で開かれているという。師匠は「塩原太助一代記」を得意としていて、会の会場も塩原太助の子孫にあたる方がやってらっしゃる鰻やさんで開かれているという。他の出演メンバーも実力者揃いで、いわゆる寄席では聞けない噺もやってくれるし、寄席では主任(トリ)以外はほとんどが持ち時間との関係で噺を省略したり、おちまで達しないで終わってしまう場合が多い中、ここの会ではたっぷりと全部やってくれるという。
早速その職員に連れられて会に行くことにした。まぁ、その会の内容の濃いの何の(笑)。あれほど落語を堪能したのは初めてだった。師匠は非常に気さくな方で、その職員の友人だというだけで、高座がはねた後お酒の席呼んでくれいろんな話をしてくれた。これぞ「楽屋話」である。
この会には、講談界の最大派閥である神田一門の講談師がよく出演される。その会でよく顔を会わせる「神田すみれ」先生の講談がとても面白く、この後はしばらく講談一筋になった期間もあった。すみれ先生もまた気さくな方で、独演会などにも呼んでくれ打ち上げなどにも出席させてもらうようになった。 ある日、僕が静岡で司法修習生をしている頃、三島で柳昇師匠の寄席があるという。それも、ゲストで志ん朝師匠がでるという。すみれ先生の講談が聞けて、柳昇師匠の新作落語が聞けて、志ん朝師匠の古典落語が聞ける・・・。これはもう行くしかないと、三島まで駆けつけた。楽屋へすみれ先生を訪ねに行くと何と柳昇師匠と志ん朝師匠に会わせてくれるという。まんまと一緒に写真をとらせてもらい、おまけに直筆のサインまで頂いてしまった。この時の写真は一生の宝物だ。
神田一門には、実に色々な経歴を持った講談師の先生が居る。中でも異色なのが、神田愛山先生。彼はアル中の過去があり、そのころのことをある報道番組が特番を組んでいたのを見たが、それはもう想像を絶する世界。
ある日、先ほどの友人から「愛山先生の講談は凄く面白いよ。法律ネタで講談をやりたいとも言ってるし、一度会ってみない?」と言われて愛山先生の講談を聞きに行くことにした。彼の講談は古典は天下一品に上手いし、古典以外の自作講談は人の心裏をえぐるような衝撃的な講談だった。
終了後、友人と共に楽屋を訪ねると歓迎してくれ、法律ネタで協力できることがあればお手伝いしたいと申し上げた。その後、友人がネタを書き僕が法律監修をするという役割で何本か愛山先生にネタを提供し、何本も高座にかけていただいた。自分が関わった話がプロの手によって高座に掛かる・・・何とも言えない快感である。その後、友人と2人一組で「露地野裏人」というペンネームを愛山先生から頂き、愛山先生の独演会のときに配られるプログラムにこの名前がよく載るようになった。
これも一生の思い出。
投稿者 ono : 2005年01月16日 21:28